2023年12月、沖縄県内の16歳未満の少女が、米空軍兵により誘拐され性的暴行を受けていたことが、県民には24年6月になって初めて知らされた。被害者が未成年だったことで県内に大きな衝撃が走ったが、性暴力が半年間も伏せられていたことは、県民に強い不信感を抱かせた。

 沖縄で1995年に発生した米兵による少女暴行事件を契機に、日米間では「在日米軍に係る事件・事故発生時の通報手続き」が合意されていた。しかし今回、捜査当局および外務省から県へ情報提供はなく 県民へも知らされなかった。

 その後、2023年1月から24年5月末までの間に、米兵による性犯罪が他に4件も起こっていたことが明らかになった。即座に通報されていれば、後に続いた性暴力を防ぐことができたのではないか。隠蔽(いんぺい)の影響は大きい。

 性暴力は人間の尊厳を蹂躙(じゅうりん)する行為であり、非難されるべきは加害者である。

 県議会は事件発覚直後の24年7月、「相次ぐ米軍構成員等による女性への性的暴行事件に関する抗議決議」と同「意見書」を全会一致で可決し、県内全41市町村議会でも、県外の自治体においても抗議決議が可決された。

 24年10月、スイスのジュネーブで国連女性差別撤廃委員会の日本政府審査が開かれ、沖縄から参加した女性たちが、在沖米軍による県内での深刻な性被害が相次いでいることについて訴えた。

 委員会は、米兵らによる女性への性暴力について「加害者を適切に処罰し、サバイバーに十分な補償を提供するための適切な措置を講じること」を日本政府に初めて勧告した。これは国際社会からの重要な勧告である。米兵による性暴力を起こさせない責任は、一義的に日米両政府にある。

 12月13日、わいせつ目的誘拐と不同意性交等罪に対する裁判で、懲役7年の求刑に対し5年の有罪判決が出た。性交同意年齢に満たない少女に対するわいせつ目的誘拐、性的暴行が卑劣な加害行為であったことを思うと、この量刑では軽すぎる。

 「被害者は決して悪くない」。私たちは、勇気ある訴えに応えたい。今回の性暴力事件とその後、決められた通報手続きが無視されたことに対して満腔(まんこう)の怒りをもって抗議するとともに、徹底した再発防止に向けて下記の事項が速やかに実現されるよう強く要求する。

 記 

  •  1、被害者への謝罪と丁寧な精神的ケアおよび完全な補償を行うこと。
  •  2、被害者のプライバシーの保護と二次被害の防止を徹底すること。
  •  3、事件発生時の県・市町村等自治体への速やかな情報提供を確実に行うこと。
  •  4、米軍構成員等を特権的に扱う日米地位協定の抜本的改定を行うこと。

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