東京都世田谷区は8日、生活保護世帯の子どもの大学進学を支援するため、2024年度から学費を上限年間50万円、教材費・交通費を実費で支給する給付型奨学金を新設する、と発表した。24年度予算案に3180万円を計上。全国でも珍しい取り組みという。

◆生活保護費を受けながら大学、現制度では認められない

 保坂展人区長は会見で「国の制度の隙間で進学をあきらめている若者がいる。進学にブレーキがかかってしまう状況を改善したい」と話した。

給付型奨学金制度について説明する保坂展人区長

 生活保護制度では、保護費を受けながら大学に通うことは認められていない。生活保護受給世帯の子どもが大学に通うには、自身を保護の支給対象から外す「世帯分離」をして生活費を自分で稼ぐ必要がある。区の試算ではこうした場合、世帯に支給される生活保護費は月額4万円ほど減るケースもあるという。国も授業料減免などをしているが、保護費の減額が進学の妨げになっているとの指摘がある。  厚生労働省によると、22年の全世帯の大学等進学率は76.2%(浪人生を除く)に対し、生活保護世帯は42.4%という。  対象人数は在学生を含め約60人。区の奨学金は、アルバイトや貸与型奨学金で賄われる平均約50万円に相当する。成績要件はなく、中途退学した場合も返還は不要。ケースワーカーから対象者に周知する。(奥野斐) 

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