加盟団体の退会が相次ぎ、活動が継続できなくなったとして、岡山県内のPTAが加盟する「県PTA連合会」(県P連)が今年度末で解散する。会費収入が減り、運営費が賄えなくなったのが要因で今年4月の臨時総会で解散を決定。文部科学省によると、都道府県レベルの連合会の解散は全国初という。

 県P連は1948年設立。県内の郡市単位のPTA連合会が加盟し、保護者と教職員が会員。2008年度には県内全21郡市の連合会が加盟し約18万人いた会員は、今年度は5団体、約9千人に減少。08年度には会員1人30円だった年会費を130円に値上げするなどして工面してきた。だが、繰越金や積立金でやりくりできるのは今年度までが限界で、来年度は赤字が見込まれた。退会した団体からは、役員を出すことへの負担のほか、会費に見合うメリットが感じられないなどの理由が寄せられたという。全国組織の日本PTA全国協議会(東京)からも年内で退会する。

 県P連は2日、ホームページに「会員の大幅な減少に歯止めをかけることができず、活動が継続できないと判断した」などとする神田敏和会長のコメントを掲載した。

加速する退会の動き

 PTAは日本PTA全国協議会(日P)を頂点とするピラミッド構図になっている。ただ、近年はピラミッドから退会する動きが各地で加速している。

 23年に東京都小学校PTA協議会(東京都小P協)が日Pから退会し、24年には千葉市P協とさいたま市P協が退会した。千葉県P協も退会に向けて調整中だ。

 都道府県のP協から市町村単位で退会する動きも相次ぐ。

 奈良市P連は19年に県P協を退会。高知市小中学校PTA連合会は22年、県P連に納める分担金の値上げを理由に退会した。両市P連は上部組織を持たない独立組織として活動しているが、滋賀県の草津市PTA連絡協議会は21年に県P連から退会し、その後解散した。埼玉県PTA連に加盟する市町村のP協は、政令指定市として独立しているさいたま市をのぞく62市町村のうち16市町だけになった。

 退会理由は上部組織に支払う会費や、上部組織の会議に出席する役員の負担などを減らしたいのが中心だが、22年度決算で約4700万円の赤字となった日Pのガバナンスへの疑問を背景に挙げるP協もあった。今年度ピラミッドから退会した関東地方のP協担当者は「共働きが増えて、PTA活動に多くの時間を割けない人が増えている。上部組織の活動を担う余裕がない。時代の流れだと思う」と話している。

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