和歌山県田辺市は今夏ごろから、市営住宅の家賃滞納者に対する督促・徴収業務を弁護士らに委託する。1330戸ある市営住宅の滞納家賃は昨年12月末時点で計約3千万円にのぼり、最も古いのは9年以上前の滞納もあったという。債権回収のノウハウがある法律の専門家に委ねることで徴収率のアップを図る。
同県は平成30年度から、居場所がわかりにくい県営住宅の退去者を対象にした滞納家賃の徴収業務を弁護士法人に委託し、令和5年度までに計約4千万円を徴収したという。同市は県の取り組みを参考に、退去者だけでなく入居者も対象に加えて滞納家賃の徴収を委託することを決めた。
同市の家賃滞納への現行の対処は、納入期限から20日が経過すると督促状を送付し、納入されないと電話で督促。さらに未納入の状態が続けば、住宅明け渡しなど法的措置にも言及する催告書を4カ月ごとに送付している。それでも家賃滞納はなくなっていない。
市は委託先として、弁護士個人のほか弁護士法人などを検討。企画提案方式で公募し、委託による督促・徴収業務を今夏ごろに始めたいとしている。243万円を事業費として予算化。委託料は成功報酬として徴収額に応じて支払う。
市建築課の担当者は「弁護士は専門性が高く、これまでできなかった滞納家賃の徴収が期待できる。もし明け渡し訴訟になっても手続きがスムーズにできると思う」と話している。
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