(漫画:©︎三田紀房/コルク)記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第113回は理3合格者の共通点についてお話しします。

「宇宙人」とも呼ばれる理3の学生たち

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東大は、学科によって難易度が異なります。「合格最低点が低い学科」と「合格最低点が高い学科」があるのです。

文系は、文科1類・2類・3類に分かれています。昔は1類の合格最低点がいちばん高かったのですが、現在では低くなってきており、文系学部の難易度の差はなくなってきています。

一方で、理系は難易度に差があります。理科1類・2類・3類に分かれているのですが、この中でいちばん難易度が高いのが理科3類、通称「理3」です。

2024年度入試では、理科1類の合格最低点が550点満点中、約326点、2類が約314点だったのに対して、3類は約380点。2類とは60点以上もの差がついています。

合格者の人数も約100人と、ほかの学部と比べて枠が狭く、東大の中でも別格の頭のよさだと言われています。僕も実際に理3の学生と話すと、「本当に頭のよさが違うんだな」と感じることがあります。漫画『ドラゴン桜』の中では、この理3に合格する人たちのことを「宇宙人」と呼んでいます。

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(漫画:©︎三田紀房/コルク)

さて、理3の学生にはどんな性格の人が多いと思いますか? 今回多くの理3の学生たちと話す中で、その「共通点」が見えてきたので、みなさんにシェアしたいと思います。

理3の学生の共通点とは、「面倒臭がり」だと僕は考えています。合理的で、無駄なことはしない。精神論が嫌いで、「いかにして楽をするか」ということを考えている場合が多いのです。『ドラゴン桜』では、理3志望の大沢くんという生徒が登場するのですが、その理由について、以下のように説明されています。

(漫画:©︎三田紀房/コルク)(漫画:©︎三田紀房/コルク)(漫画:©︎三田紀房/コルク)

というわけで、理3の学生は、彼のように「楽をしたい」という考えを持っている人がとても多い印象を受けます。

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例えばどんな勉強をしていても、「この勉強、意味あるのかな?」と考えるのです。

30分勉強するにしても、普通は「とにかく数学を頑張ろう」と考える人が多いわけですが、理3の学生は「この30分に意味はあるのかな? ちゃんと効果が上がっているのかな? 無駄な勉強をしていないかな?」というように考えるのです。

もし効果がないのであれば、すぐにやめて、ほかに効果が出る勉強に切り替えます。

理3合格者は勉強時間が長くない

また、理3に合格している人の多くは、勉強時間があまり長くありません。

理3以外に関して言えば、東大に合格した多くの人は、やはり長時間勉強しています。休日に1日15時間勉強して東大に合格した、という人も多いです。

一方で理3の学生の場合は、机に向かう時間自体は1日8時間くらいだった、という人のほうが多いです。ほかの人よりも勉強時間を短くして、「8時間しか机の前には座らない」と決めたうえで、その勉強の質を高めよう、と考えているようです。

ちなみに、勉強時間を短くした分、遊んでいたわけではないようです。「夜の時間は、好きな本を読んでいた」というような人も多いです。

理系の論文を読むのが好きだとか、理系だけど世界史が好きで世界史の本を読み漁っていたとか、そんなふうに語る人が多く、遊びと勉強の境目が曖昧な印象を受けました。

どこまで参考にできるかは、人それぞれだと思いますが、「面倒臭い」と思うこと自体は悪いことではないのかもしれません。「長時間勉強しているのに、なんで結果が出ないんだ」と悩んでいる人は、時間をかけずに結果を出すにはどうすればいいか? と考えるようにしてみてください。

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