無期雇用に切り替わる権利を得る直前の今年3月末で労働契約終了を言い渡されたのは不当だとして、青山学院高等部(東京都渋谷区)で非常勤講師として働く30代男性が21日、学校を運営する学校法人青山学院に対し、雇い止めの撤回と契約の更新を求める訴訟を東京地裁に起こした。

◆4月1日に「権利」発生するはずだったのに

 訴状などによると、男性は同校に2019年4月に採用され、1年ごとに契約を更新してきた。男性には長期的に働く意志があったが、昨年12月に「4月から(授業の)担当コマがなくなるため契約更新をしない」と専任教員に突然電話で告げられ、3月31日付で退職することになった。  有期の労働契約が通算で5年を超えて更新されると、労働契約法が定める「無期転換ルール」が適用される。男性も4月1日に無期契約に転換できる権利が発生するはずだった。

代理人弁護士や組合員らと会見に臨む原告の男性

 男性が加入する労働組合「私学教員ユニオン」は「ルール適用前日の露骨な雇い止めで、法人の対応は非正規雇用を保護する法の趣旨に明確に反する」と主張。男性は提訴後に会見し「仕事と生活の糧が奪われ、納得のいく説明もない。自分が次の年に同じ学校にいられるか分からない状況では、熱意を持って教育に携われない」と話した。  学校側は取材に「訴状が届いていないため、回答は差し控えます」とした。  厚生労働省はルールの適用を避けるために有期労働契約を5年未満で意図的に終了させることに「法の趣旨に照らして望ましくない」との見解を示している。  ユニオンは24日午後1~5時と26日午後5~9時、非正規教員雇い止めの無料相談ホットラインを開設する。フリーダイヤル(0120)333774。(鈴木太郎) 

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