小児がんの子どもを応援するヤクルトの「ゴールドリボンナイター」が7日夜、神宮球場で開催され、小児がんを経験した子どもと家族55人が阪神戦に招待された。9月の「世界小児がん啓発月間」にあわせた企画で、今年で3回目。試合前には、経験者やきょうだい児が、両軍の監督に花束を渡し、各守備位置で選手を迎えた。始球式では、昨年まで白血病の治療を受けた高校1年の中畑匠水(たくみ)さん(15)が直球で見事なストライクを投げ込み、拍手を浴びて笑顔を見せた。

 この企画にはNPO法人「キャンサーネットジャパン」が協賛し、参加者を募集した。中畑さんは「支えてくれた人たちへの感謝と、治療中の人への応援を伝えたい」と応募した。

兄の影響で6歳から野球一筋だった。私立中学の2年生だった一昨年の夏、練習中にめまいがするなどして、病院へ。急性リンパ性白血病が分かり、都内の病院に1年3カ月入院した。

 コロナ禍での面会制限や薬の副作用、アレルギー症状などで苦しい思いをしたが、好きな阪神の優勝や夏の甲子園などをテレビで見て励まされた。退院して野球をするという目標が支えになり、医師とも毎日のように野球の話で盛り上がった。

 退院後のこの春、系列の高校に進学した。落ちた体力や筋力はまだ戻りきらないが、定期検査を受けながら野球も続けている。

 神宮球場のナイターでは夏に花火が打ち上げられる。昨夏は病棟から何度も眺めた。「その神宮のマウンドに立つなんて信じられない」。

 始球式には「病気をしても元気に投げられることを見てもらって、いま治療中の子どもたちを元気づけたい」と思いながら臨んだという。投げ終えた後、「緊張で汗がすごかったけど、歓声や拍手もたくさんもらえて良かった。支えてくれた大勢の人に感謝の気持ちを伝えたいです」と語った。

 神奈川県の中学1年の岡崎璃乃さん(13)は、双子の弟の颯真さんとともに、セレモニーで選手を迎え入れる「スタメンキッズ」を務め、レフトの守備位置でヤクルトのサンタナ選手と言葉を交わした。

 小学3年生の秋に白血病が分かり、約1年後に退院。リハビリのために始めた野球に熱中した。女子も野球部に入れる私立中を受験し、今は毎日1時間半かけて通って「野球漬け」の日々という。

 セレモニーの後、「目の前で見たプロの選手たちはみんな大きくてすごかった。私も女子プロ野球の選手になって、小児がんの子どもを応援したい」と話した。(上野創)

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