福岡県春日市の市立小学校で2019年に採用1年目の男性教諭(当時24)が自殺したのは、長時間労働や指導教諭によるパワーハラスメントが原因だとして、両親が市と県に計約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が27日、福岡地裁(日景聡裁判長)であった。市と県はいずれも請求棄却を求めた。

 教諭の母親(60)が証言台に立ち、意見陳述した。教諭は運動会や授業の準備に追われて帰宅が遅くなり、食事の量が減少。睡眠を削って自宅で残業していたという。「どうして息子がこのようなことになったのか。原因究明と学校からの謝罪を強く求めます」と訴えた。

 訴状などによると、教諭は大学卒業直後の19年4月、春日市内の小学校に赴任し3年生の学級担任になったが、同年9月に自殺し21年に公務災害に認定された。認定によると、教諭は19年5月の連休明けから2カ月連続で時間外勤務が120時間を上回り、亡くなる前の1カ月も80時間を超えた。他の職員の前で指導教諭から厳しい指導も繰り返し受けるなどした。

 両親側は、校長や市が労働時間を適切に把握し、健康を損なわないようにする義務を怠るなどしたため、教諭が精神疾患を発症し自殺に追い込まれた、と主張している。(上月英興)

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