公立の男子高や女子高を、男女共学にするべきかどうか。男女別学の公立高校が全国で最も多い埼玉県で、県立高校の共学化を求める声が上がっていたことを受け、県教育委員会は22日、「主体的に共学化を推進していく」との方針を公表した。ただ、賛成派、反対派に配慮した結果、時期や対象校など実現に向けた具体的な道筋は示せなかった。

◆浦和高や浦和第一女子など伝統校がずらり

埼玉県庁

 昨年8月に第三者機関の県男女共同参画苦情処理委員から「男女の役割についての定型化された概念の撤廃が求められている」として早期の共学化を求める勧告があり、県教委の判断が注目されていた。  埼玉県立の男女別学高は12校あり、男子の浦和高、女子の浦和第一女子高など旧制中学や高等女学校を前身とする伝統校が多い。  県教委がまとめた報告書は「男女共同参画社会の中で、高校の3年間を男女が互いに協力して学校生活を送ることには意義がある」と指摘。ただ、これまでのアンケートなどで、男女別学校について「学校の伝統や校風に魅力がある」との意見も多く、多様なニーズがあるとして、今後さらにアンケートや地域別での意見交換、有識者からの意見聴取などを行うと結論付けた。

◆別学校の卒業生らは強く反発

 埼玉県立高を巡っては、2002年にも同様の勧告があり、県教委は県民の別学支持が根強いことなどを理由に早期の共学化には積極的に取り組んでこなかった。  今回の苦情処理委員による勧告を受け、別学校の卒業生らは強く反発。7月には有志の高校生が別学維持などを訴えて署名約3万4000筆を県に提出していた。一方、ジェンダー平等を掲げる市民団体などは会見や勉強会を開いて共学化を主張。県教委が今春実施したアンケートでは、高校生は「別学維持」が57.2%、中学生は「どちらでもよい」が56.2%を占めていた。 

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