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仲間とレモネードを販売する稲田莉子さん(左端)=2023年7月9日、京都市、稲田さん提供

 同志社大(京都市)の「レモネードスタンド Philia(フィリア)」は、小児がん患者への支援と理解を広げる活動をしている。神学部生たちを中心に、昨年度から活動を始めた任意団体だ。

 「レモネードスタンド」は米国発祥の活動で、催しなどで店を出してレモネードを売り、利益を寄付するとともに、小児がんの現状や支援の必要性を伝える。

 団体の代表で4年生の稲田莉子(りこ)さん(21)は、岡山県倉敷市の高校に通っていた時に脳腫瘍(しゅよう)が分かり、治療を受けた。立つこともできない時期を乗り越えて同大神学部に進学。小児がん患者の支援活動に少しずつ参加するようになり、それを知った学部の友達が「私たちにできることはない?」と声をかけて活動が始まった。団体名は「友愛」「愛情」を示すギリシャ語からとった。

 「Philia」は昨年7月に大学近くの教会と「バザールカフェ」で1日ずつ出店し、倉敷の教会や稲田さんの出身高校、同志社大の創立記念の催しなどでも店を出した。同じゼミのメンバーら20人以上が関わり、オリジナルのキーホルダーや、アフリカのマラウイを支援するコーヒーなども一緒に販売する。

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京都市で開いたレモネードスタンドで展示した一般社団法人「みんなのレモネードの会」(横浜市)の資料や絵本=2023年7月、稲田莉子さん提供

 稲田さんと同学年で副代表の高岡颯一郎(そういちろう)さん(22)は「レモネードを買うのをきっかけに、小児がんについての話を聞いてくれる人がいて、やりがいがあります。体験者でなくてもできることがあるのがうれしい」と話す。

 メンバーの就職活動などでしばらく休んだものの、今年度も催しなどで出店する。稲田さんは「1人の力ではとてもできない。関わってくれる大学の仲間たちや先生には本当に感謝しています」と話す。

 小児がんは年2000~2500人が発症する病気で、約8割が治るとされる。ただ、治療や通院などの費用や、退院後も不調や晩期合併症が起きる例があること、進路での悩みなど、さまざまな課題を抱える。

 寄付先の一つは、大学などへ進学する小児がん経験者に返済不要の奨学金を給付する認定NPO法人「ゴールドリボン・ネットワーク」。稲田さんも利用し、「とても助けられている」と語るが、高校生や大学生への支援はなお不足していると言う。「一人でも多くの人に関心をもってもらい、支援を充実させていきたい」と話している。(上野創)

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京都市のバザールカフェでレモネードスタンドを開いたときの写真。前列右から2人目が稲田莉子さん。右端に立つのが副代表の高岡颯一郎さん=2023年7月13日、稲田さん提供
  • 【朝日中高生新聞】自らも病経験、小児がんを支援

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