長野県松本市の市立中学校で昨夏ごろ、運動部の外部コーチをしていた市内の30代男性が部員の生徒と性的関係を持つなど不適切な行為をしたのに、学校や市教育委員会がその事実を把握した後も約1カ月間にわたり、部活動の指導を続けさせていたことが、市教委への取材で分かった。市教委は「突然やめると、周囲で理由の詮索(せんさく)が始まり、個人の特定につながるおそれがあった」と説明している。

 市教委の説明によると、外部コーチの男性は昨年の夏休み前、部活動で指導していた生徒とSNSで連絡を取り、性的な関係を持ったという。生徒が間もなく養護教諭に相談し、学校側や市教委は事態を把握した。学校側は生徒から聞き取りをし、県警も学校側から連絡を受け、捜査をしているという。

 一方で、学校側は事態を把握した後もコーチに、週末を中心に部活動の指導を続けさせていた。コーチと生徒は顔を合わせることもあったという。学校側は約1カ月後にコーチを指導から外し、その後、本人から退任の申し入れがあり、受理したという。

 指導を続けさせたことについて、市教委の坂口俊樹・教育監は「突然やめると、理由の詮索が始まるおそれがある。被害を受けた生徒が特定されないように配慮した。事実関係の把握にも時間がかかった」と説明している。またこのコーチについて、過去にも不適切な行為があったかどうかについては「確認できていない」という。(小山裕一)

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