北九州市八幡西区の市立小学校で今月5日にあった健康診断で、複数の児童が学校医の60代の男性医師から「下腹部を触られた」などと訴えていたことがわかった。医師は、医療行為の一環で「性的な意図はない」と説明しているという。

 市教育委員会によると、この健診は2年生と5年生の計90人が受け、養護教諭ら2人も同席した。医師が胸の音を聴診器で確認し、その際、下腹部にも聴診器をあてていたという。

 保護者から「子どもが性器を触られたようだ」と連絡があり、7日に学校が児童にアンケートをしたところ、男女18人が「ズボンや下着の中に手を入れられた」「下腹部を触られ嫌だった」などと訴えた。うち男児2人は「性器に指があたった」と答えたという。

 医師は市教委の聞き取りに対し、「腸音を聴くためで、性的な意図があってやったわけではない」と説明。一方、市教委によると、現在の健診項目は肺や心臓音の聴診のみで、腸音は含まれていないという。

 この医師は、2010年から同校の健診を担当し、昨年度も「下腹部を触られて嫌だった」などとする訴えが1件あったという。市教委は今月に予定されていたほかの学年の健診について、別の医師に依頼することを決めた。

市教委は同校にスクールカウンセラーを派遣し、11日には保護者説明会を開いた。

 学校健診をめぐっては、群馬県みなかみ町の小学校でも今月、複数の児童が学校医の男性医師から下半身を見られた、などと訴える事案があった。文部科学省は今年1月、学校の健診をめぐり「児童生徒のプライバシーと心情に配慮することが重要」とする通知を出した。体は原則、体操服などで覆い、必要に応じて医師がめくって視触診したり、服の下から聴診器を入れたりする可能性があることを、事前に児童生徒や保護者に説明するなどの対応を求めている。(城真弓)

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