給料未払いで保育士が退職したことなどを理由に、保育施設運営会社「中和興産」(札幌市)が運営する市内の保育園4園が休園したことが、市への取材で分かった。市は転園の調整を進めている。

 市によると、5月31日~6月3日、同社の運営する園が休園した。休園したのは、ちゅうわ発寒保育園(西区)▽ちゅうわ清田保育園(清田区)▽ちゅうわ南郷保育園(白石区)▽ふしみの森めぐみ保育園(中央区)の四つ。0~5歳児の81人(5月末)が在籍していたという。

 札幌市の秋元克広市長は3日の記者会見で、「通常、休園するのであれば、子供たちや保護者が混乱しないように一定の期間を空けて転園できる時間をとりながら行わなければならない。市にも事前の連絡はなく、ずさんで無責任な対応だ」と指摘した。道や市によると、道内の保育所で園児が在籍したまま休園する事例はこれまでになかったという。

 同社は市内で五つの保育園を運営してきた。休園した4園の他にも、保育士の未配置や人数不足の状況が続いたとして、市は5月24日にちゅうわ南保育園(南区)に、6月1日から10カ月の事業停止命令を出した。

 この南区の保育園では3月11日、保育士全員が退職することから、市が保育状況を確認すると、同社は清田区の園での保育を申し出た。

 同社は「施設の定員に対して職員がきちんと確保できるまでは市の了承なく開所することはない」とした弁明書を市に提出した。弁明を受けた市は事業停止命令の発出を保留し、南区の園の職員が適正に補充されてから再開する旨の指導をした。

 ただ、実際には、南区の園では保育士の未配置と人数不足の状態で保育を続けていた。

 また、札幌市は同社に対し、昨年度の給付金約2600万円の返還を求めてきたが、5月下旬の期限までに返還されていないという。

 市には給付金の申請書に「いない職員の名前が書かれている」との情報提供もあり、市は不正受給の実態がないか調査するという。同社の一連の対応について、秋元市長は「認可の取り消しも含めて、法に基づいて対応を検討したい」としている。(古畑航希)

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