建築のノーベル賞といわれる「プリツカー建築賞」を今年受賞した建築家の山本理顕さん(79)が3日、設計を手がけた埼玉県立大学(越谷市)を訪れ、県から表彰を受けた。テレビドラマやCMなどの撮影にも頻繁に使われるというキャンパスで「大学の理念を空間として表現できたと自負している」と語った。

 山本さんは、県の魅力発信に貢献したとして大野元裕知事から表彰状と記念品を受け取った。大野知事は「開学25周年の記念すべき年に、プリツカー賞を受賞されたことは県民として大変喜ばしい」とたたえた。山本さんは大野知事らに各施設を説明しながらキャンパス内を歩いた。

 1999年に開学した県立大学には保健、医療、福祉に関する学科があり、各分野における「連携と統合」を理念に掲げている。

 山本さんは、この理念を設計のあらゆるところに反映させている。学科間の交流やコミュニケーションを図るため、教育棟を学科ごとに分けず、すべての実験実習室を1階に配置。建物にはガラスを多用し、「開かれた大学」を表現している。

 キャンパスの中心部分には緑が生い茂る「連携と統合の丘」があり、周辺の住宅地や田園地帯との調和を意識したデザインになっている。大学に門がないのは「大学は地域や社会に開かれた存在であるべきだ」という山本さんの考えからだ。

 キャンパスはこれまで「半沢直樹」「相棒」などのテレビドラマのほか、映画、CM、アイドルグループのミュージックビデオのロケ地としても使われているという。山本さんは「広い意味で外に開かれているということの表れ。設計者としてはうれしい」と笑顔で語った。

 式典後には、在学生ら300…

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