東京電力が昨年8月24日に福島第1原発処理水の海洋放出を始めた後、原発3キロ圏の海水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度の迅速測定を1年で延べ1800回以上実施した結果、最大値は1リットル当たり29ベクレルで、世界保健機関(WHO)の飲料水基準1万ベクレルを大きく下回った。大半は検出できる下限値未満だった。専門家は「想定通りで、環境への影響はないことが確認された」と指摘する。
迅速測定は、検出下限値を高く設定することで分析時間を短縮し、海水採取の翌日に結果を公表する。放出開始当初は10カ所で荒天時を除き毎日、23年末からは放出中と完了後1週間以外の期間は頻度を下げて実施した。トリチウムはもともと海水に存在し、精密に分析すれば検出されるが、迅速測定で検出した場合は処理水の影響である可能性が高い。
東電によると、迅速測定でトリチウムを検出したのは沖合約1キロにある放水口近くの2カ所で、計26回。全て東電が設けた放出停止の基準(1リットル当たり700ベクレル)を大きく下回り、異常はないと判断した。
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