政治資金規正法に関する協議に臨む自民、公明両党の実務者=16日午後、国会内(春名中撮影)

自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けた政治資金規正法改正を議論する自民、公明両党の実務者協議が16日、始まった。岸田文雄首相(自民総裁)は今国会中の改正を目指しているが、早々に改革案を示した公明側に対し、自民は独自案を用意しないまま協議に臨むなど温度差がみられる。事件で与党に逆風が吹く中、調整が円滑に進むのかが焦点となる。

「国会で規正法の改正を必ず成し遂げなくてはいけない。作業を加速していこうと合意した」

自民の法整備に関する作業部会座長を務める鈴木馨祐衆院議員は協議後、記者団にこう述べた。公明の中野洋昌衆院議員も「しっかり議論をして、与党で成案をまとめていきたい」と語った。

出席者によると、この日は顔合わせの色合いが濃く、焦点となっている会計責任者だけでなく議員本人が連帯責任を負う「連座制」の導入の可否などに関する具体的な議論は行われなかったという。

政治改革を巡っては自公の向き合い方が大きく異なる。透明性が課題となっている政策活動費に関しては公明が使途公開義務化を訴える一方、自民は「譲れない一線」(党幹部)として制度変更に慎重だ。企業・団体献金についても自民は見直しに後ろ向きだが、公明幹部は廃止に理解を示したこともある。

自民の迷走も目につく。鈴木氏は12日、「党として(改革案を)取りまとめることは今の時点では検討していない」と記者団に述べた。だが、その後、訪米中の首相が「規正法の改正案を自民としてまとめていく」と表明し、発信が食い違った。

自民の中堅議員は「あまりに恥ずかしい。自民内で音頭をとる人物がいない状況が露呈した」と顔をしかめる。

自公は今月28日の衆院3補欠選挙投開票までに規正法改正の考え方を示す方向だが、意見の相違を背景に成案を得るまでには紆余曲折が予想される。(竹之内秀介、長橋和之)

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