2025年大阪・関西万博の開幕まで13日で1年となった。政府は万博をオールジャパンの国家イベントと位置付け、テコ入れを図っている。ただ、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件などで岸田文雄政権の基盤が揺らぐ中、永田町の関心は目先の政治日程に向きがちで、開催地・大阪との温度差は否めない。
訪米中の首相は13日の民放番組に中継で出演し、万博について「各国が内向きになりがちな時代だからこそ、日本に集まって対話し、思いを一つにする機会を持つことは極めて重要だ」と述べた。パビリオン建設などの課題を挙げつつ、「オールジャパンで一つ一つ乗り越え、意義ある万博を実現したい」と語った。
首相は昨年11月に関係閣僚らを集めた会合で「先頭に立って取り組む」と表明し、政府から万博協会に幹部職員を派遣して体制を強化。今年1月には経済産業省に予算執行監視委員会を立ち上げ、さらなる費用膨張を防ぐ姿勢も明確にした。
岸田政権は安倍晋三、菅義偉両政権と異なり、万博を推進する日本維新の会との距離感が指摘されてきた。ただ、首相が目指す憲法改正などには協力が不可欠で、自民党幹部は「万博に力を入れることで維新は政権に感謝している」と打ち明ける。
もっとも、機運の醸成は大きな課題だ。自見英子万博相は12日の記者会見で「万博への来場の意向度が下がっている調査結果もあり、真摯に受け止めたい」と語った。チケット販売の不振については「日が近くなってから階段状に伸びていく」と過去の経験則を説明し、「今現在の売れ行きは、ある程度予想の範囲内だ」と強調した。
政府・与党では不記載事件を受けた混乱が続く。首相の党総裁任期満了を9月末に控え、おのずと与野党の関心は4月16日告示の衆院3補欠選挙など、秋にかけての政治日程に傾く。国民の機運以前に政治の側に熱量が乏しい感は否めない。
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