自民党の憲法改正実現本部(古屋圭司本部長)は26日の会合で、改憲実現へ精力的に取り組む方針を改めて確認した。ただ、主戦場となる衆参両院の憲法審査会では改憲原案作成の見通しすら立っていない。改憲論を主導すべき立場の自民に対しては他党に加え、足元からも不満が表面化しつつある。
「いよいよ大型連休明けには(国会発議に向けた)取り組みをしっかりしなければいけない」。古屋氏は会合冒頭、岸田文雄首相が今年秋までの自民総裁任期中の改憲を目指していることを念頭にこう述べた。
一方、5月3日の憲法記念日を前に方針を共有する好機だったにも関わらず、この日の会合では空席が目立った。幹部が報道陣に「(国会の委員会の影響で)あまり集まっていないが、憲法改正の熱意が急になくなったということではない」と〝釈明〟する場面もあった。
会合では改憲の機運が高まっているなどと報告された。しかし、野党第一党の立憲民主党は党内や支持層に護憲派を抱える。立民の参加にこだわる自民の意向もあり、改憲原案について協議する起草委員会の設置も決まっていない。
古屋氏は会合後、記者団に「丁寧にやっても参画しないならば(立民抜きの起草委設置を)決断せざるを得ない時期が来るかもしれない」との見方を示した。だが、古屋氏自身は憲法審の運営に影響を及ぼす立場にはない。
党内では膠着状態への危機感が広がっている。「憲法改正を速やかに実現する中堅・若手の会」の共同代表を務める和田政宗参院議員は16日の会合で、「(われわれが)推進力となって行動していく」と強調。議連幹部は「先輩方の苦労は分かるが、立民に及び腰な態度では改憲に理解を示す他党との歩調が乱れる」と懸念を口にする。
不満の声はベテランからも上がる。党や政府の要職を歴任した重鎮は、憲法審が個人の意見開陳にとどまり、起草委の設置も期待できないとして、「もうこんな自民党には愛想をつかした。やる気がないのだろう。いまの自民総裁のもとではダメだということだ」と吐き捨てた。(末崎慎太郎)
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