千葉科学大(千葉県銚子市)を運営する学校法人加計学園(岡山市)が銚子市に対して同大の公立化を求めている問題で、越川信一・銚子市長は「留学生が多数を占めていては、公立化は難しい」との見解を示した。大学の存在が人口減歯止めなどの地域活性化につながるという意見がある中、同大の学生数だけではなく、出身地なども含めて深く議論する考えを示した形。10月29日の定例記者会見で語った。

 同大は定員割れが恒常的になっており、留学生の受け入れを積極的に行ってきた。これについて越川市長は会見で「留学生を数多く受け入れることは、私立大学の運営としては問題ないが、市が運営する公立大学となると、市民の理解が得にくい」と指摘。留学生が多い状況では「地元のニーズがなく、公立化は難しい」などと述べた。

 今後、市と加計学園が公立化の是非などについて協議していくことになる。ただ、市は8月末、公立化要望を受けて設置した識者らからなる検討委員会の答申を受けて、協議再開を学園側に申し入れた。だが、学園側からは9月末に「管理・運営について検討中で、待って欲しい」と猶予を求める返答があった。その後、学園側から返事はないという。

 検討委員会の答申は、市は私立大としての存続を学園側に求めつつ、一方で大学の存続を探るため、一部の学部学科に限定しての公立化については検討の余地があるとした。(根岸敦生)

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 朝日新聞の調べなどによると、千葉科学大の2024年の入学生の多くは、外国人留学生が占めている。薬学部の48人のうち半分の24人が韓国などから来日し、危機管理学部危機管理学科では84人のうち67人が中国などからの留学生とみられる。

千葉科学大の今年度の入学者数と留学生数

            入学者 留学生

薬学部         48   24

看護学部        39   1

危機管理学部

▽危機管理学科     84   67

▽保健医療学科     47   16

▽航空技術危機管理学科 32   14

▽動物危機管理学科   29   6

3学部合計       279   128

(2024年4月現在、朝日新聞調べ。単位は人)

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