東京工業大と東京医科歯科大が統合して1日、東京科学大が誕生した。国立大の統合は、2007年に大阪大が大阪外国語大を統合して以来。東京科学大は、国立大学法人の経常収益でみると東京大や京都大などに次いで7番目の規模となり、世界トップクラスの科学系総合大学を目指す。
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経営を担う大竹尚登理事長(旧東工大教授)と、教育・研究を束ねる田中雄二郎学長(旧医科歯科大学長)の2トップ体制をとる。大学本部は東京都目黒区の旧東工大に置き、当面は旧2大学の学部名や定員を存続させる。学生数(学部生と大学院生)は旧東工大が計約1万人。旧医科歯科大が計約3千人。
大竹理事長と田中学長が1日午後に記者会見する。
旧東工大は理工系分野で、旧医科歯科大は医学分野で、それぞれ国内トップクラスの研究力を誇る。両大学とも世界最高水準の教育研究活動を期待され、国から規制緩和などの特例を受ける「指定国立大」だった。
それでも欧米の理科系有力大と比べて、予算規模や引用の多い論文数などで、大きく水をあけられている。こうした状況を打開するため、「医工連携」を深めるなどして世界と戦える力を持ちたいと、統合を決断した。
相乗効果を生み出すには、異なる文化の中で過ごしてきた両大学の教職員や学生が、スムーズに融和できるかがポイントになる。学生は机を並べて学び、研究者は協力して一つのテーマに挑戦するなど、大学として意識的に双方の出身者が集う場を作ることが必要だ。
新大学の試金石となるのが、近く2度目の公募が予定されている「国際卓越研究大学制度」だ。認定されれば、政府が作った10兆円規模の「大学ファンド」の運用益から、毎年数百億円を受け取ることができる。研究設備を充実させ、国内外から優秀な研究者を集めることで、新大学の起爆剤となる。
統合について環境・社会理工学院の2年生の女性は「名称が変わるのは寂しいが、医工で連携する効果には期待している」。大学院医歯学研究科の博士課程の男性は「旧東工大の研究者を通じてメーカーなど他職種の人と接点を持つことができれば、勉強になることが多いと思う」と話した。
旧東工大は1881年設立で理、工など6学院(学部に相当)。医科歯科大は1928年設立で、医、歯の2学部。(増谷文生)
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