こども家庭庁は30日、希望しても認可保育所などに入れない待機児童が今年4月1日時点で2567人(前年比113人減)で、過去最少だったと発表した。ピークだった2017年から7年連続で減少し、10分の1以下となった。一方で、保育を希望したのに利用できない「隠れ待機児童数」は増加傾向にあり、柔軟な支援を求める声も上がっている。(今川綾音)

◆保育を希望しているのに利用できない

 認可保育所などの利用児童数は、前年比1万2277人減の270万5058人で、3年連続で減少。待機児童は全市区町村の87.5%(前年86.7%)にあたる1524自治体でゼロとなった。同庁担当者は「女性就業率の上昇以上に少子化が進んだ」とみる。  ただ、保育を希望したのに利用できない「隠れ待機児童数」は約7万1000人に上り、一昨年の約6万1000人、昨年の約6万6000人から増加傾向にある。「保育園を考える親の会」顧問の普光院亜紀さんは「それぞれの事情や希望に合わせ、年度途中の入園もでき、1歳過ぎまで育児休業をとることもできるような柔軟な支援を実現してほしい」と指摘している。

◆「2年連続ゼロ」だったから申込者が急増

 同庁の発表では、待機児童が急増した自治体もある。50人以上の自治体は前年と同じ6自治体だったが、大津市と兵庫県西宮市は急増し100人を超えた。都内でも世田谷区、荒川区が前年から数を増やした。  同庁による聞き取りに「宅地開発」「想定外の閉園」などと回答する自治体があったほか、世田谷区では「共働き世帯が増加した」、荒川区は「待機児童が2年連続ゼロと入りやすい環境だったため、申込者が増えた」などと説明。同庁は「個々の地域事情に注視が必要」としている。

◆過疎地域の保育機能確保のために予算計上

 保育の定員数は、前年比6250人減の304万4678人。定員充足率は0.3ポイント減の88.8%で低下傾向が続く。都市部が91.6%と高く、過疎地域は76.2%と低さが目立った。4年間の減少幅は都市部2.9%に対して、過疎地域は6.8%と大きく、同庁は「過疎地域における保育機能確保・強化のためのモデル事業」の実施に向けて来年度の予算要求を行う。  普光院さんは「過疎地域の対策として、子育て支援や地域福祉の場として活用されるのは有効だ」と新方針を評価する。充足率は、都市部でも年度の前半はゼロ歳児クラスを中心に空きがあるが、後半には枠が埋まり、預けられない状況が続いているという。 

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