教員の数が本来必要な数に達していない状態を示す「教員未配置」の問題で、全国の小中高校の未配置数が5月時点で4037人となっていることが、全日本教職員組合(全教)の実態調査で分かった。昨年度同時期の調査より深刻化しており、特に産育休・病休の代替者の未配置は倍増している。

◆産育休・病休の未配置、2023年より倍増

 調査は、全教が調査用紙を送った地方組織が、5月1日時点の教員未配置数を地元自治体の教育委員会に聞き取るなどして調査。東京など37都道府県10政令市から回答があった。回答した府県・政令市名は公表していない。

教員未配置の実態調査について話す全日本教職員組合の中央執行委員ら=東京・霞が関の文科省で

 校種別の未配置数は、小学校1732人、中学校1244人、特別支援学校473人、高校433人など。  未配置で目立つのが産育休・病休教員の代替者。産育休の代替が見つからないことによる未配置数は425人、病休が293人だった。  また、回答のあった都道府県政令市のうち、昨年度同時期の調査にも回答のあった24都道府県5政令市の未配置数を比較すると、昨年度が2018人で、本年度は2753人。1.36倍に増えていた。中でも産育休・病休などの代替教員の未配置数は、400人から804人と2倍だった。

◆非常勤講師などで穴埋め「働き方を抜本的に考え直さないと」

 未配置への対応を聞いたところ、回答のあった自治体の多くが、非常勤講師などで授業の穴を埋めたとした。全教の板橋由太朗中央執行委員は「校務分掌など授業以外は非常勤の業務外なので、他の教職員が負うしかなく、長時間過密労働に拍車をかけている。教員の働き方を抜本的に考え直してほしい」と訴えた。  自由記述には、「担任不在のクラスがざわつき始めた」(小学校)、「副校長が100件電話をかけても代わりの教員が見つからない」(中学校)、「支援学級の担任をもちながら通常学級の授業、定期考査、評価もしている」(同)、「昨年度は10人近くの教員が病休になった」(特別支援学校)などの声があった。(榎本哲也) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。