夏休みなど長期休業中は、子どもが情報端末に触れる機会や時間が増えがちだ。仕事などで保護者が不在の自宅で、オンラインゲームやSNSをやり過ぎて生活リズムが崩れたり、学業に影響が出たりする「ネット依存」に陥る懸念もある。

 厚生労働省の2017年度の調査では、ネット依存の疑いが強い中学生は12.4%、高校生は16.0%。推計約93万人に上り、5年前から約40万人増えた。

 その後、コロナ禍によるオンライン授業の広がりや情報端末の急速な普及で、ネットやゲームはさらに身近になっている。

10~17歳のネット利用、1日5時間 5年前の1.6倍

 こども家庭庁が23年度に10~17歳計5千人に行った調査では、平日1日当たりのネットの平均利用時間は約5時間。コロナ前の19年度の約1.6倍になった。同じ調査で0~9歳計3千人について保護者に聞いたところ、23年度で2時間超と、19年度の約1.5倍になっていた。ネット依存の子は低年齢化し、急増しているとの指摘もある。

 防ぐ方法はあるのか。国立病院機構「さいがた医療センター」の佐久間寛之院長と依存症治療チームによると、ゲームやネットを遠ざけることは解決策にならないという。佐久間院長は「依存の本質は『苦痛の回避』にある。現実世界がとても苦しいことが問題で、その苦しさがなくならない限り解決しない」と指摘する。ゲームやネットの仮想世界では苦しさを忘れられ、救われているとも言える。無理に取り上げた場合、暴力を振るったり、命を失ったりするリスクもあるという。

 保護者に必要なのは、「子どもへの干渉をやめ、ともに楽になること」だという。「たわいのない雑談をしたり一緒に食事をしたり、家庭のあたたかさを取り戻してほしい。そうすれば家庭が子どもにとって安心する場になり、ネット依存からの回復を促す。普段からそのような雰囲気がつくれていれば、防止にもつながるだろう」

「保護者は干渉やめ、楽になって」(高浜行人)

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