北海道旭川市で2021年3月、中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が凍死体で見つかった問題で、市の再調査委員会(尾木直樹委員長)がいじめと自殺の因果関係を認めたことを受け、広瀬さんの母親は2日、不安を抱えながらも再調査に期待を託した1年6カ月の思いを弁護士を通じて語った。

  • 爽彩さんの母親が弁護士を通じてだしたコメント

 母親は再調査の結果が出るまでの期間を「爽彩の声を見つけるためにどうしても必要な時間だったと思う」と振り返る。ただ、再調査の聞き取りのたびに、在りし日の爽彩さんのことを思い出し、自然と涙がこぼれたり、眠れなくなったりしたこともあったという。

 特に強く思い出すのは行方不明になった2月13日のことだ。母親は家を出る時にいつものように見送ってくれた爽彩さんの姿がずっと心に残ったままだ。その1カ月後、まだ雪が残る永山中央公園で凍った姿で見つかった。「なぜ、どうして」と自分に問い続けてきたという。

 今回の再調査で何より驚いたのは、爽彩さんのたくさんのSNSでのやり取りが残っていたことだ。中にはいじめのトラウマに悩んでいるような内容がいくつもあった。

 再調査委の分析で、爽彩さんがいじめのフラッシュバックで苦しんでいた様子が目で見て分かる形で示され、「こんな分析ができるのかと驚き、同時に、とても悲しい気持ちになりました」という。

 感謝するのは再調査委の委員たちが、本当に爽彩さんのことを真剣に考え、爽彩さんの視点に立ち、爽彩さんに寄り添った調査をしてくれたことだ。だからこそ膨大な量のメッセージを集め、前回の調査では控えた医療情報なども含め、すべての資料を提供した。長くて辛い日々だったが、再調査の結果は以前とまったく違うものになった。

 「これまで知らなかったいじめが見つかり、前の調査では認めてもらえなかったいじめも認定された。ぼんやりしていたいじめの姿が、とてもはっきりと見えるようになったことに驚いている」

 さらに、「教室で受けたいじめがどれほど爽彩を孤立させたのか。性的いじめが、どれほど爽彩の心を傷つけたのか。その傷がどれほど長い間、爽彩に苦しみを与え続けたのか。残酷すぎる現実に胸がえぐられる思いでした」

 最後に、母親は再調査を決断した今津寛介市長や、新たな資料の提出などに協力してくれた多くの人たちに「爽彩の母親として、この場を借りて心からの感謝を改めて申し上げたいと思います」とした。(奈良山雅俊)

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