3人家族のうち4割強が1人1食110円で生活――。止まらない物価高が、困窮する子育て家庭を追い詰めている。支援する認定NPO法人「キッズドア」(東京)が6月下旬、アンケート結果を公表して実態を明らかにした。給食がなくなる夏休みを前に、早急な支援を呼びかけている。

 同法人は今年5~6月、支援する家庭を対象にインターネット上でアンケートを実施。この時期の調査は今回で3回目で、1821件の回答を得た。回答者の9割が母子世帯で、今年の世帯所得の見込みを「200万円未満」と答えた家庭が約半数、「300万円未満」とした家庭が8割を超えた。

 物価高が続くなかで、昨年同時期と比べて家計が「とても厳しくなった」と答えたのは約8割で、「やや厳しくなった」を合わせると98%の家庭が家計の悪化を実感していた。

 1カ月に1人あたり1万円未満(1人1食110円程度)の食費で生活している家庭は、2人家族では35%、3人家族では44%に達した。外食だけでなく肉や魚、野菜の購入を控え、保護者の食事を減らしたり抜いたりして対応している家庭も目立った。

「命をつなぐのが難しい」 支援呼びかけ

 子どもの成長や健康状態への影響を世帯所得別にみると、所得が低くなるほど子どもが「病気にかかりやすくなった」「体重が増えていない」「身長が伸びていない」と答える割合が多く、「子どもが健康診断で栄養不良や肥満・やせ傾向を指摘された」という回答も全体の13%あった。

 自由記述には「おかずの量は完全に少なくなった。長男が急激に体重が落ち、貧血もひどくなってしまった」や「衣食住に対してお金の心配ばかり。子どもが幸せなのか、心苦しい毎日」「ミルクは薄め、オムツは変える頻度を少なくしている」などと書かれ、厳しい生活がうかがえる。

 渡辺由美子理事長は「困窮子育て家庭は命をつなぐのが難しい。普通に働けば普通に子育てができる社会を実現してほしい」と話し、国に困窮する子育て家庭への現金給付などの支援を訴えた。同法人は夏休みに食料品や無料の学習会を提供するため、寄付を募るクラウドファンディング(https://congrant.com/project/kidsdoor/11823)を実施している。(平井恵美)

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