学級担任制廃止などの取り組みが全国的に注目された東京都千代田区立麴町(こうじまち)中学校が、指導方針を転換した。従来の方針による「弊害が生じていた」とし、昨年度から見直しを検討していた。学校生活の詳しいルールも設けた。以前の自由な校風に魅力を感じていた保護者からは、疑問の声も上がっている。

 同校の資料などによると、服装は、今年度の新入生から、従来の標準服や市販の無地ポロシャツ(白か紺)などを指す「公式ウェア」を着るルールとなった。従来は、場面等に適した服装を生徒が選んでいた。また、単元ごとの短時間の方式だった学力テストは、2週間ほどの「テスト期間」を設ける、50分間の方式が導入された。

 教員全員が生徒の相談に乗り、担任を置かない「全員担任制」は「チーム担任制」とした。

 また5月に「充実した学校生活を送るために」と題し、21項目のルールを記した文書を示した。登下校時の買い食い、寄り道はしない▽他のクラスに原則入らない▽学年指定のトイレを使用……などの内容だった。

 同校は2014年に工藤勇一校長(20年3月で退任)が着任後、「自主性を伸ばす」などとして宿題や定期試験、固定した学級担任制などを廃止した。その後、昨年着任した現校長のもと、それらの取り組みの変更を検討。ただ、戸惑う保護者も少なくなく、PTA有志らが保護者や卒業生らにアンケートを実施し、「服装ルールの変更は『必要ない』が52%」などの結果を昨秋に公表していた。

 学校側は取材に対し、方針変更について「ミッションは学習指導要領に沿った『麴町中の立て直し』。全員担任制や定期試験の廃止などの弊害が出ていたので改善策を講じた」と説明した。区教育委員会の担当者は取材に対し、「学校運営協議会や保護者会や PTA 主催の麴中カフェなどで話し合いの場を設けている」と回答した。

 一方、PTAの一人は「自由な校風にひかれて(区外から)越境入学した生徒も多い。生徒の自律を尊重せず、次々と規制強化する学校の姿勢には疑問を感じた」と話す。(編集委員・森下香枝)

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