AIに取って代わられない技術であるアナログコミュニケーションを、デジタル世代が身につければ鬼に金棒です(写真:shimi/PIXTA)時代の流れとともに、上司が部下へ教えることが少なくなったアナログコミュニケーション。ですが、AIに取って代わられない技術であるアナログコミュニケーションを、デジタル世代が身につければ鬼に金棒です。そこで、令和世代はいまいち知らないアナログコミュニケーションの極意について、大手広告代理店に営業職として30年勤務し、「誰でも使える気配り術」を伝授する後田良輔氏に聞きました。※本稿は後田良輔著『今こそ使える昭和の仕事術-ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』から一部抜粋・再構成したものです。

さらにデキるビジネスマンになれる仕事術

聞かれていることに「まず結論」で返す

経団連の労働時間等実態調査によれば、長時間労働の是正や有給休暇の取得促進などが功を奏し、年々、労働時間は減少傾向とのこと。一方、短くなった労働時間に反比例して、時間あたりの仕事内容の濃さが求められる時代になりました。

そんな濃縮の時代だからこそ、時間泥棒がビジネスにおいて最も嫌われるものの一つになっています。

「頼んだ企画書はできた?」と聞かれた時、「実は急にお客さんに呼ばれて」なんて答えている人は損する人です。なぜなら相手が聞きたいのは、あなたの事情ではなく結論だからです。

「まだできていません。急にお客さんに呼ばれまして。ただし本日の18時までにできます」と、結論→ 理由→ 事実という流れで話すのがイライラさせない人の工夫です。

貴重な時間だからこそ、聞かれたことに対して「まず直球」で返さないと、時間を奪われたと不快に思われ、損する人間関係に陥ります。

逆に直球で返すだけで、仕事のしやすい人という印象を獲得することができます。

仕事の質問に言い訳は不要です。できる・できないの結論を答え、その上でどんな状態なのかを把握しやすいように整理して付け加えるのが、上手い報告の仕方です。

言い方一つで印象が天と地ほど変わりますので、まず結論から話すようにしてください。

周囲はもちろん自分の未来も変えられる仕事術

PDCAではなくDCPA

目標を達成する方法としてPDCAが重要と言われています。Plan(計画)・Do(行動)・Check(検証)・Action(改善)を繰り返すことで成果を効果的に出す手法のことです。

たしかにこれを実践すればうまく行きそうですが、実は落とし穴があります。それは、人は心理学でいうところの「先延ばし行動」をとりがちな生き物という点です。

たとえば学生時代のテスト勉強。完璧な学習スケジュールを作ったにも関わらず、肝心の勉強に取り組まない。テスト間近になって「ちゃんと勉強しておけば……」と、後悔した人は案外多くいるものです。そこでおすすめなのが、まずDo(行動)から始めることです。

「思い立ったが吉日」という言葉があるように、何かを始めようと思ったときは、すぐに行動に移したほうが良い。そして、その行動でえた経験を活かして計画や検証、また改善をした方が、ビジネスも勉強も効率的に進み、周囲はもちろん自分の未来も変えることができます。

事前の計画作りはもちろん大切です。でも計画だけに固執し、肝心の行動がおろそかになっては、元も子もありません。頭でっかちになる前に、まず行動が重要なのです。

「世界を動かそうと思ったら、まず自分自身を動かせ」とソクラテス(古代ギリシャの哲学者)も言っています。小さな一歩は未来を変えるとても大きな進歩につながっているのです。

「逆締切り」を提案する 

「いつでもよい」「なるべく早めで」など、仕事をしていると明確な日時を指定されない納期があるものです。これを曖昧なまま鵜呑みにすると事故につながります。

私も大失敗をしたことがありました。

あるクライアントから新商品についてのアイデア提案を今週中に欲しいと言われた時の話です。アイデアを順調に開発し、あと1日で完成という木曜日の夕方にクライアントから怒りの電話が入りました。

「うちの会社は金曜日が創立記念で休み。木曜日までに提案してくれないとは何事だ!」

このとき私は、自分と相手の時間感覚は異なるため、明確に揃えないと事故になることを痛感しました。

だからこそ「逆締切り」を提案し、基準を合わせる必要があるのです。

×なるべく早め → ◎火曜日の17時までに
×午前中 → ◎11時までに
×明日いっぱいで → ◎明日の18時までに

いかがでしょうか?

こちらから逆に日時を提案すると、曖昧さがなくなり、相手はもちろん自分も安心してビジネスを進めることができます。

みんなが嬉しい工夫なので、ぜひ積極的に逆締切りを提案してください。

相手に好かれて信頼を得る仕事術

よい情報を聞いたらその場でアマゾンで購入する

「情報は情報を呼ぶ」

3000人のVIPと交流して発見した真実の一つに、この情報の法則があります。

信頼できる人から商品やサービスの情報(本や物、お店やセミナーなど)を聞いた際、どちらの行動の方が相手に好かれるでしょうか?

①「今度、チェックします」と言う② その場ですぐに購入する
 (アマゾンや楽天、リアルなお店で)

答えはもちろん②です。

自分の情報に敬意を表してくれたことに嬉しくなり、またその場で即、購入した行動力にも驚いてもらえ、この人にもっと色々と教えてあげようと思ってもらえます。

加えて「聞いた商品やサービスがすぐに手に入る」というメリットもありますので、やらないと逆に損をします。

即断即決という言葉が昔からあるように、よいと思っていることを遅らせる理由はありません。本ならば1500円程度、セミナーの情報なら1万円程度の出費となりますが、それで相手の信用をえられるのですから、これほど費用対効果の高い行為はありません。

情報を大切に扱う人には、さらによい情報が集まります。

ぜひやってみてください。

結果をフィードバックする

前項の「よい情報を聞いたら、その場でアマゾンで購入する」という効果を、さらに倍増させる方法があります。それは「結果をフィードバックする」という行為です。

『今こそ使える昭和の仕事術-ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

自分が体験してえられた感想をフィードバックしてみてください。すると相手は「自分の情報を信じて行動してくれた」「敬意を感じる」と喜び、その後も事あるごとにあなたを気にかけてくれるようになります。

実際、私の後輩にもこんな成功例がありました。

彼は入社半年の新入社員の営業マン。当然、飛び込み営業などしたことがありません。そんな彼があるアパレル会社に思い切って飛び込んだところ、運よく社長の面談に成功しました。とはいえその場で受注することはできませんでした。

でもその時社長から教えてもらったアパレルに関しての本を即購入。その後、自分なりの気づきを付箋に貼って社長に見せたところ、面白いヤツと言われ、50万円でも上々のところ、なんと2000万円の新規受注を獲得できたのです。

情報に敬意を表し、早めにきちんと報告すると、有益な情報はもちろん、相手との人間関係がぐんと向上します。

敬意のフィードバックは人間関係の栄養剤だと私は確信しています。

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