東洋経済「私立大学財政データ」から見るランキング。ここでは現金預金や有価証券など金融資産の合計である「運用資産」に対して運用利回りが高い私立大学上位200位を紹介。

東洋製罐GHの大株主でもある東洋食品工業短期大学(写真:けいわい /PIXTA)

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少子化が進み大学の募集停止が相次ぐなか、政府は理系強化の方針を打ち出す。ターニングポイントを迎える中、大学側はどう対応するのか、そして実力を発揮する「本当に強い大学」はどこか?  『週刊東洋経済』では毎年、臨時増刊『本当に強い大学』を刊行し、最新の大学の現状や課題をまとめている(2023年版の購入はこちらから)。ここでは、その誌面で作成・利用するデータ等を活用し、各種ランキングを作成している。今回は、大学の財務に着目し、東洋経済「私立大学財政データ」から私立大学を対象に金融資産の合計である「運用資産」から得られた受取利息・配当金の比率が高い高運用利回りの大学を紹介する。『本当に強い大学2023 (週刊東洋経済臨時増刊)』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

4月6日の配信記事「金融資産を多く持つ私立大学ランキングTOP200」では、私立大学を運営する学校法人の金融資産(「運用資産」)保有額をランキングにした。

今回は「受取利息・配当金」と、運用資産に対する受取利息・配当金の比率である「運用利回り」を算出し、保有資産に対してどれだけ利息や配当を得ているかを見る。

大学法人の財務分析では、「有価証券」+「現金預金」+「特定資産」を「運用資産」と呼ぶ。有価証券は貸借対照表の「流動資産」(短期保有)と「その他の固定資産」(長期保有)に記載されている合計値だ。ここに「現金預金」と、退職給与引当金や、施設設備整備建設のための引当金など、将来の特定の支出に備える「特定資産」を加えて「運用資産」を計算した。

この運用資産に対する受取利息・配当金の比率である「運用利回り」でランキングした。対象は運用資産3億円以上の大学だ。では、実際にどのような大学が上位なのか。ランキングを見ていこう。

「運用利回り」でランキング

1位は東洋食品工業短期大学で18.5%。日本で唯一の包装容器・容器詰め食品のプロを育てる同校は東洋製罐創立者の高碕達之助氏が設立した東洋罐詰専修学校が前身だ。東洋製罐グループホールディングスの株式の9.0%(1649万株)を保有する大株主でもある。

運用資産は99.1億円で受取利息・配当金は18.3億円。学費は年間50万円と安く、学生生徒等納付金は3826万円に過ぎない。教育活動での赤字4.7億円は受取利息・配当金でカバーしている形だ。

2位は栃木県の白鴎大学で11.7%。運用資産は22.3億円。受取利息・配当金は2.6億円で同校の資料によると、運用相場の環境が良好で前年比で約5000万円増加したという。

3位は広島国際学院で10.5%。運用資産は4.8億円。受取利息・配当金は0.5億円。ここまでが10%を超えている。

4位のコンピュータ総合学園(神戸情報大学院大)は6.9%。運用資産は47.9億円。受取利息・配当金は3.3億円だった。

5位は国際基督教大学松本歯科大学が6.6%で並んだ。

以下、7位は塚本学院(大阪芸術大、大阪芸術大短大)西大和学園(大和大、白鳳短大)の2校、9位エリザベト音楽大学、10位日本教育財団(東京通信大、国際ファッション専門職大など)が入った。

運用利回りが3%を超えるのは25位の純美禮学園(滋賀短大)までだった。

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