奈良文化財研究所(奈文研、奈良市)は19日、奈良時代の平城京(同市)で出土した木製遺物18点の年輪年代測定の基礎データを、20日からホームページで公開すると発表した。奈文研として年輪年代のデータを公表するのは初めて。

 これまでもデータ公開を求める声が上がっていたが、デジタル化によりデータ処理、公開が容易になったとしている。年代決定の根拠を示すとともに、第三者による年代の追試、検証が可能になるという。今後もデジタル化が済んだデータを公開する予定。

 記者会見した星野安治年代学研究室長は「公開することでこの分野への参入者が増えれば」と話し、年輪年代研究で他機関との連携や研究方法の発展のきっかけになることを期待している。

 公開するのは、平城京左京三条一坊一坪で出土した井戸枠や木製容器、木簡の計18点に関連する年輪幅の数値やデジタル画像。18点の年輪年代は西暦342~775年。木製容器1点には樹皮が残っており、748年の伐採と判明した。成果は今年出版された奈文研の「学報第103冊」に掲載されている。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。