NHKの稲葉延雄会長は18日の定例会見で、米大統領選や兵庫県知事選の結果などを振り返り、「世の中の動きを、NHK、あるいは皆さんも含めて、正しく伝えていない」と、会見に出席した記者らに対して、選挙報道について持論を述べた。

 稲葉会長は「例えばアメリカの大統領選挙で、均衡していると言いながらトランプ氏が圧勝している。日本でも兵庫県知事の支持が突然、増えたことになった」とし、「極右と極左に分かれる中で、中間層に注目すべきだ」などと論を展開。「SNSのせいにするのは、少し議論を矮小(わいしょう)化しすぎている。もう少し真実を追求することが、NHKやここにいらっしゃる皆さん方の仕事だと思っている」と話した。

 年内最後の会見。稲葉会長は国内外で選挙が多かった2024年を振り返り、「放送法あるいは公職選挙法の規定に基づいて、公平公正さに一層神経を使って報道する必要があるが、視聴者が本当に知りたいと思っていることを正面から応えていく責任もある」とし、「これは極めて難易度の高い課題だと理解しているが、それを考えないといけない」と強調した。

 報道担当の原聖樹理事は「報道の量的平等だけではなく、質的な平等を目指しながら、どういった報道ができているか、議論を今まさに進めている」とした上で、「できれば、来年の東京都議会選や参議院選で、より充実した報道が実現できれば」と述べた。

 稲葉会長は先月の会見でも、兵庫県知事選に触れ、「どうすれば投票の判断材料を適切に提供していけるか。公共放送として、果たすべき選挙報道のあり方を真剣に検討していく必要がある」と語っていた。

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