ユネスコ(国連教育科学文化機関)は5日、日本が提案していた日本酒や焼酎などを造る技術「伝統的酒造り」を無形文化遺産に登録した。パラグアイで開かれている政府間委員会で決議された。国内から登録された無形文化遺産は23件となった。
「伝統的酒造り」は、杜氏(とうじ)や蔵人(くらびと)ら酒蔵の職人による、カビの一種であるこうじ菌を使った手作業の技術を指す。米や麦などにこうじ菌を生やしたこうじが、米に含まれるでんぷんを糖に変え、同時にその糖を酵母がアルコールに変えていく「並行複発酵」という世界でも珍しい技術で、ワインなどよりも高いアルコール分を生み出せる。
提案概要によると、こうじを用いる酒造りは、500年以上前の室町時代に技術の原型が成立したという。その後、日本各地の気候風土に合わせて発展し、日本酒や焼酎、泡盛、みりんなどの製造を通して受け継がれてきた。
ユネスコの委員会は、伝統的酒造りについて「神々からの聖なる贈り物とされる酒は、祭りや婚礼、通過儀礼、社会・文化的な場などで不可欠」とし、「日本文化に深く根ざしている」などと評価した。
今回の委員会では、「パレスチナのナブルスせっけん造りの伝統」や、韓国の醬(ジャン)造りに関わる知識や慣習なども無形文化遺産に登録された。
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