障害がある人たちのアート作品を展示・販売する催し「Borderless Art Liaison & UniSon Empowerment HAKODATEアート展」が、北海道函館市の無印良品シエスタハコダテで開かれている。作り手は近隣で就労支援を受ける人たちで、販売機会は少ない。今回は作り手に売り上げの7割が入る。12月15日まで。

 「売れたんですか」。開催2日目の11月30日、会場に就労継続支援B型施設に通う谷内宣哉さん(51)の弾んだ声が響いた。細密な幾何学模様を水性ペンで彩色した作品についた値は1万5千円。「作品は僕の頭の中のイメージをコピーしたもの。だから売れたことは僕を認めてくれた気持ちになる」

 自閉症の啓発をしている映像コンサルタントの藤田道子さん(69)が企画・運営を担った。「授産製品だから安いというのではなく、作り手に正当な対価を支払いたかった」と狙いを語る。「アートは言葉で表現するのが苦手な障害者にとって雄弁な自己表現手段。それぞれの感性を味わってほしい」

 この日は、障害者のアート作品データの知的財産管理や商品化を手がける社会的企業「ヘラルボニー」(盛岡市)の最高執行責任者(COO)の忍岡(おしおか)真理恵さんを招いた講演会があった。忍岡さんは作家に対し支援ではなく対等なビジネスパートナーとして、正当な使用料を支払う仕組みを説明。「まだごく一部ですが、収入が増えて確定申告をした作家さんもいる」と紹介した。

 そのあと、忍岡さんを藤田さんに紹介した衆院議員の向山淳さんと、函館市出身で金沢美術工芸大学3年の荒木美音さん(21)を交えたパネルディスカッションがあった。真岡さんは作品を商品化できることについて、「私たちが作家さんを育てたわけでは決してない。施設の方がこんなに一生懸命毎日やっているのだからと、作品をとっておいたのです。忍耐強いサポートによって生まれたすごい素敵なものを私たちはたまたまお借りしているだけなのです」と強調した。

 展示は3階OpenMUJIで午前10時~午後8時(最終日は午後4時まで)。作品の値段は大きさや制作にかけた時間などを考慮し、2万円、1万5千円、1万円、5千円、1千円(いずれも税込み)に設定している。ポストカード(200円)も販売している。購入できるのは藤田さんが在廊している土、日(午前11時~午後5時)のみ。

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