愛知県内にある重要文化財の建築物を紙でリアルに表現する「折り紙建築」の作家による展覧会が、「文化のみち二葉館」(名古屋市東区)で開かれている。愛知には誇れる建物があると知ってほしい、という。6日まで。

 「折り紙建築」は、仕掛けが飛び出す「ポップアップ絵本」と同じ仕組みで、切ったり、折ったりしたA4サイズの紙を二つ折りにしたもの。開くと、屋根や壁の質感、奥行きや色を細かく再現した建物が立体で出てくる。

 展示を企画した建築家の筧清澄さん(55)が、折り紙建築を始めたのは結婚式がきっかけだ。

 25年前、大正時代から裁判所などに使われてきた市政資料館(名古屋市)で式を挙げた。「建築士らしい招待カード」は何かと考え、市政資料館を「折り紙建築」で作ることを思いついた。

 約80枚のカードを夜な夜な約1カ月かけて作ると、当日、来場者から高い評価を得た。「手で触れるものは人の思い出に残るのだ」と気づいた。

「子どもたちに地元の建物を作ってほしい」

 仲間を得たのは約10年前。初の展覧会を前に、30種類ほど作品を作ってほしいと依頼され、数の多さに途方に暮れた。その際、建築史家の村瀬良太さん(46)を紹介されて、水彩で色を塗る「共作」の態勢が整った。

 今回も2人で作った、名古屋市庁舎や半田赤レンガ建物といった歴史的建造物など約30点を展示している。

 「子どもたちに地元の建物を作ってほしい」。さらに実際に訪れ、愛知に誇るべき建築物があると知ってほしい、と筧さんは願う。

 5日のこどもの日にはワークショップもある。入館料200円。申し込みや問い合わせは同館(052・936・3836)へ。(渡辺杏果)

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