日本原子力研究開発機構が新型核燃料「事故耐性燃料(ATF)」の開発に使う試験装置を東北大に新設することが10日、分かった。来年3月にも完成させ、4月以降に本格運用する。2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、国内外で導入を目指す動きが広がっており、実用化に向けた研究開発を加速させる。
福島第1原発は津波で冷却機能を喪失し、核燃料が溶け落ちた。燃料を覆う被覆管の金属「ジルコニウム」と水蒸気が化学反応して水素が発生。何らかの原因で引火し水素爆発が起きたとみられている。
ATFはクロムと呼ばれる別の金属で被覆管を覆うなどし耐久性を高めた燃料。高温下でも水素の発生を抑制し、安全性の向上を目指す。機構は経済産業省資源エネルギー庁から24年度までの3年間で計約1.1億円の補助を受け、新設を進めていた。
装置は東北大の「先端量子ビーム科学研究センター」に設置する。原子炉内を模擬した環境をつくり、メーカーが提供する被覆管の材料に放射線を照射し、劣化や腐食の具合を調べる。
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