アポフィス(右)を観測する欧州宇宙機関(ESA)の探査機「ラムセス」(中央)のイメージ(ESA提供)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、2029年に地球から約3万2千キロの距離まで接近して通過する小惑星「アポフィス」の観測を検討している。28年に探査機を打ち上げる計画の欧州宇宙機関(ESA)と共同で、衝突しそうな天体の軌道をずらして災害を防ぐプラネタリーディフェンス(惑星防衛)の技術獲得につなげる考えだ。

 アポフィスは直径約340メートルで、太陽の周りを約324日周期で公転。04年の発見時には地球衝突の可能性が指摘されて話題になった。その後の軌道推定で衝突は否定されたが、これほど大きい天体がここまで地球に接近するのは観測史上初めて。最接近時に何が起こるかが注目されている。

 仮にアポフィスが東京に衝突すれば、被害は関東平野全域に及ぶと考えられ、惑星防衛は国民の生命と財産の保護で重要だ。ただ日本単独での探査は予算面などから難しく、JAXAはESAの探査に参加を検討。ESAが計画中の探査機「ラムセス」で、最接近前後の数週間から数カ月、小惑星の性質や構造、地球の引力の影響を調べる。

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