国の天然記念物で絶滅危惧種に指定されている小笠原諸島に固有のチョウ「オガサワラシジミ」の繁殖が途絶えたのは、近親交配を繰り返して遺伝的多様性が減少したためだとの研究結果を、兵庫県立大などのグループが27日までに発表した。近親交配が繁殖に悪影響を及ぼすことが実証され、他の絶滅危惧種の保護に役立つと期待される。
オガサワラシジミは絶滅を避けるため、何世代にもわたって人工繁殖を繰り返す「継代飼育」が試みられたが、2020年に幼虫と成虫が全て死んだ。野生の個体も発見されておらず絶滅の可能性が高いとされる。
グループは、01年から20年に採取された個体約190匹分の脚などを解析した。その結果、2匹の雌を「創始個体」として継代飼育を始めた16年以降、世代を追うごとに遺伝的多様性を示す数値が減少していることが判明。卵のふ化率も80%以上から10%以下へと下がった。遺伝子が近い個体同士の交配が繁殖に悪影響を与え、途絶に至ったと結論付けた。
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