北海道鶴居村に飛んで来て、雪原で舞うタンチョウ=2月

 国の特別天然記念物タンチョウを巡り、ユーラシア大陸極東部から渡ってきた雄と北海道に生息する雌が交配し、道北部で大陸由来の遺伝子を持つ個体が増えているとみられることが8日、研究者への取材で分かった。絶滅寸前から数を回復させた北海道群は遺伝的多様性に乏しく、感染症などへの脆弱さが懸念されていたが、専門家は「多様性が向上すると疾病への耐性も上がる可能性がある」と話す。

 酪農学園大学の寺岡宏樹教授(獣医学)によると、道北部の豊富町で2018年、大陸群の雄と北海道群の雌が繁殖したとみられる跡が見つかった。二つは生息地の違いから互いに影響し合っていないと考えられてきた。

 寺岡教授らが繁殖の裏付けなどを求め08~22年に収集したタンチョウの血液や羽根を分析した結果、道北部のサンプル28個のうち8個で、豊富町で確認された大陸群の雄に由来すると思われる遺伝子タイプが見つかった。

 寺岡教授は「今後も大陸群と北海道群の個体が交雑する可能性がある」と指摘する。

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