京都大と住友林業は28日、世界初の木造人工衛星「リグノサット」が完成したと発表した。9月に米フロリダ州ケネディ宇宙センターから国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられ、10月に日本実験棟「きぼう」から宇宙空間に放出される。

リグノサットは2020年に京都大と住友林業が開発を開始した。一辺約10センチの立方体で、重さは約1キロ。3種の木片を宇宙空間にさらす実験などから、強度や加工性に優れたホオノキを素材に選んだ。ねじや接着剤を使わない日本古来の伝統技法で組み上げ、外側に太陽電池パネルを取り付けた。

放出から半年間、木材の伸縮や衛星内部の温度、地磁気、電子機器への影響を測定。測定データは京都大構内の通信局で受信し、2号機の開発に生かす。

スペースデブリ(宇宙ごみ)の発生防止のため、役目を終えた衛星は大気圏に再突入させることが国際ルールとなっているが、従来の衛星は燃え尽きる際に金属の微粒子を発生させるため、大気汚染などが懸念されている。

宇宙飛行士で京都大の土井隆雄特定教授は「持続可能な資源である木の可能性を広げ、木材利用を推進する上でも大きな意義がある。将来的には月や火星など、宇宙に木を使った人の居住空間を作りたい」と話した。

世界初となる木造人工衛星「リグノサット」=28日午後、京都市左京区の京都大

世界初となる木造人工衛星の地上試験用モデルを手に、説明する京都大の土井隆雄特定教授=28日午後、京都市左京区の京都大

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