財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は9日の分科会で、経済安全保障の観点から重要性が高まる半導体産業支援の在り方などについて議論した。日本政府は半導体を「戦略物資」と位置付け、国内生産強化に巨費を投じている。委員からは、経済効果の厳密な検証や、安定財源の確保を求める意見が多く出た。

財務省によると、米中対立などを背景に過去3年間の補正予算に計上した半導体支援額は、経済産業省を中心に約3.9兆円。国内総生産(GDP)比は0.71%で、半導体メーカーの誘致や育成に注力する米国の0.21%、ドイツの0.41%をそれぞれ超えるという。

会合では委員から、今後の半導体産業の育成について「民間資金や人材を呼び込める安定的な支援を講じるべきだ」「官民のリスク分担を見直し、民間投資を促進すべきだ」などの声が上がった。

財務省は、半導体支援を緊急対策として繰り返し補正予算に計上する現在の手法を続けると、一方的に規模が膨らむため、財源に関する中長期的な戦略が必要だと主張している。

分科会の増田寛也会長代理は、会合後の記者会見で「巨額の財政出動の効果を検証すべきというのは共通意見だ」と語った。財政審は、政府が6月にも策定する経済財政運営の基本指針(骨太の方針)に反映させるため、来月にも建議(意見書)をまとめる。

財務省=東京都千代田区

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