韓日議員連盟会長の鄭鎮碩氏(時吉達也撮影)

【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は22日、大統領府の要の大統領秘書室長に、保守系与党「国民の力」の重鎮で韓日議員連盟会長の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)氏(63)を任命すると発表した。

10日の総選挙で与党が惨敗し、李官燮(イ・グァンソプ)秘書室長や韓悳洙(ハン・ドクス)首相らが一斉に辞意を表明していた。尹氏は鄭氏が「野党と円満な関係を持つ」と強調。野党との協力姿勢を人事で示しつつ、政権の立て直しを図る。

尹氏は記者団への説明で、鄭氏が野党やメディアと円滑に意思疎通していくことに期待を示した。記者からの質問も受けた。

尹氏が記者団の質疑に応じるのは2022年11月に一部メディアと対立し、記者団からの取材を中断して以来。選挙の惨敗を招いた独断性やコミュニケーション不足といったイメージの払拭が狙いのようだ。

鄭氏は、国会で少数与党のねじれが続く「厳しい時期に大統領を助けることが私の責任だ」と述べた。

鄭氏は新聞記者出身。当選5回で国会副議長などを歴任した与党の重鎮だが、今回の総選挙で落選した。22年の尹政権発足前には、尹氏の特使として代表団を率いて日本を訪れた政権切っての知日派だ。鄭氏を政権の中核に据えることで、日本との協力を重視する尹政権の外交路線は揺るぎないことを示した形だ。

尹氏は今週にも最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表と就任後初の個別会談を行う予定だ。尹氏は、野党との意思疎通に「注力する」と記者団に説明した。

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