日本人飛行士の月面着陸と月面探査車の提供に関する取り決め書を手にした盛山文科相(右)とNASAのネルソン局長=10日、ワシントン(共同)

日米首脳会談に合わせて訪米中の盛山正仁文部科学相は9日(日本時間10日)、米航空宇宙局(NASA)のネルソン局長と、有人月探査の実施取り決めに関する文書に署名し、米主導の国際月面探査「アルテミス計画」で、日本人の宇宙飛行士2人を月面着陸させることが正式に決定した。早ければ2028年にも着陸する見通しで、日本は米国に次いで、世界で2番目に月面へ宇宙飛行士を送り込むことになる。

アルテミス計画は米国が主導し、日本、欧州、カナダなどが参加する国際月面探査計画だ。2025年に有人で月周回飛行を行った後、26年、28年、30年、31年、32年に月面着陸を実施することが固まっている。

最初の機会となる26年は、米国人が着陸。日本人の1人目の月面着陸はその後となるが、日本政府はできるだけ早い段階での実施を求めており28年となる可能性が高い。月面では、着陸地点周辺の探査を行うという。

今回の署名で、日本がアルテミス計画に、有人探査車を開発して提供することも正式決定した。日本人の2人目は32年に月面着陸し、有人探査車を操縦して広範囲な探査を行うことになる。有人探査車は、内部に空気を満たした空間があり、飛行士が宇宙服を着ずに、寝泊まりしながら月面を走り回ることが可能。探査車は31年に打ち上げられて月面に到達後、32年の飛行士到着を待つ。

月面着陸の機会は、アルテミス計画への貢献度を考慮して決められる。日米が署名を交わした文書には、計画へのさらなる貢献があった場合は、機会を増やすことを検討すると明記されており、月面着陸の人数が増える可能性もある。

アルテミス計画の名称は、ギリシャ神話でアポロの双子とされる月の女神に由来。月の周回軌道に有人の中継宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設し、月を活動の拠点として、人類を火星に送ることも構想している。

月面基地のイメージ(宇宙航空研究開発機構提供)

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