太陽光発電に用いるパネルは中国企業が高いシェアを握る

太陽光や風力発電など、再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされている「再エネ賦課金」が4月から値上がりし、標準家庭(使用量400キロワット時)で電気料金が月額836円上昇した。年間で1万円程度の負担増となる。賦課金は平成24年に導入され、再エネの普及に伴い右肩上がりで増えてきた。ただ、太陽光発電に用いるパネルは中国企業が大きなシェアを持っている。日本国民の負担が増える一方、中国を利するとの指摘もあり、制度の見直しを訴える声が強まっている。

再エネ買い取り、国民負担に

政府は賦課金の単価を令和6年度は1キロワット時当たりで前年度比2・09円高い3・49円に引き上げた。政府は6月使用分から電気代を抑える補助金を終了し、家計の負担は3月使用分に比べ2236円増えることになる。

政府は24年に再エネの固定価格買い取り制度(FIT)を導入し、再エネで発電した電気は電力会社が再エネ事業者から一定価格で高く買い取ることになった。この費用を消費者が負担するのが賦課金の仕組みだ。

賦課金の単価は電力会社の買い取り総額から事業者の販売収入などを差し引き、販売電力量で割って算出。利用者は単価と電力使用量に応じ賦課金を一律に徴収される。

再エネ普及に伴い買い取り総額は増加傾向で、賦課金も右肩上がりで上昇している。賦課金の単価は24年度は0・22円だったが、令和4年度には3・45円に達した。

5年度はロシアによるウクライナ侵略に伴う資源価格高騰で電力の市場価格自体が高騰、販売収入増加で1・40円に初めて下がった。6年度は資源価格一服で販売収入減が見込まれ、再び引き上げとなった。国民が負担する賦課金総額は2・7兆円に上る。

玉木氏「間接的に富が中国に」

賦課金を巡っては「2030(令和12)年ごろまでは上昇を続ける見通し」(政府関係者)という。FITの導入当初に高い買い取り価格で認定した事業用太陽光の20年の買い取り期間が重しとなる。その後は下落する可能性が指摘されるが、負担がすぐに大きく減るかは見通せない。

賦課金には反発も根強い。国民民主党は3月26日、賦課金の徴収を一時停止し電気代を引き下げる「再エネ賦課金停止法案」を国会に提出。玉木雄一郎代表は賃上げの効果を打ち消すとして「廃止を含め抜本見直しの時期に来ている」と話す。

玉木氏は「所得の低い人も含め、集めたお金をメガソーラー設置事業者に回す『所得の逆再分配』が起きている」と指摘。また太陽光発電は「コストが下がっており、市場原理に任せるべき」と見直しも訴える。

中国の存在も懸念事項だ。「太陽光パネルはほとんど中国製で、賦課金で間接的に富が中国に行っている」(玉木氏)。

再エネを巡っては、内閣府のタスクフォースの元民間構成員、大林ミカ氏の提出資料に中国国営電力会社のロゴマークが入っていたことも問題視されている。賦課金制度について玉木氏は、「経済安全保障の観点からも検証が必要だ」と強調した。(中村智隆)

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