[2024県議選 6.16]

 16日投開票の県議選で、13選挙区に75人が立候補した。沖縄タイムスは、各立候補者が主要公約や政策を90秒以内でスピーチする様子を動画で撮影。内容を玉城デニー県政に対する与党系、野党系、中立の3グループに分け、単語の使用頻度などを分析する手法「AIテキストマイニング」を使って、傾向を比較した。(県議選取材班・東江郁香、垣花きらら)

知事との連携訴える  与党系(32人) 

与党系マイニング

 「玉城デニー」「県政」「辺野古」「支える」が目立った。知事を支持し、連携をアピールする言葉が多く並ぶ。「選挙の看板」としての知事への期待感が表れたとみられる。

 辺野古新基地建設反対の決意を語る声があった。一方、その阻止を掲げて政党や市民で構成する政治勢力「オール沖縄」は出現しなかった。公認や推薦を受けた政党や政治団体に比べ、使う場面がないようだ。

 昨年度から知事の目玉政策として始まった県の地域外交政策に触れ、「平和」の構築に取り組むとのフレーズも頻出。「子どもたち」のため、子どもの貧困の解決や教育支援の強化を強調した。

 「日本共産党」が出てきたのは、与党系32人のうち、政党として最多の7人が同党公認で立候補したことが影響している。

暮らしの無償化強調 中立(17人) 

中立テキストマイニング

 「無償化」の重要度が高かった。給食費や教育費、中高生の通学費、高校3年生までの医療費などの無償化「実現」を17人中8人がアピールしている。福祉や子育て、教育施策に注力するとして、待機児童の解消や子どもの貧困対策を公約に掲げることで、「子どもたち」の言葉も目立った。

 中立では政党公認の立候補者7人以外は無所属で、90秒スピーチの内容が多様化。「高齢者」が安心できる居住体制の構築や、高騰する「物価」への対策、「離島」振興や性の多様性を尊重する社会実現のための「条例」制定を訴える候補者もいた。

 コロナワクチン接種の反対、ワクチン接種後の後遺症対策といったワンイシューの政策を訴える立候補者2人を含むため、「ワクチン」が比較的大きく表示されたとみられる。

給食費無償化を重視 野党系(26人) 

野党系テキストマイニング

 県内全域での小中学生の「給食費」の完全な「無償化」を訴える候補者が多かった。知事の公約だったとし、県予算での「実現」を求めるとしている。知事は現在、中学生のみを対象に、市町村へ費用の半分を補助する事業案を打ち出している。

 複数の候補者が「離島」や南部、北部、東海岸など各地域の他、沖縄県の「振興」を促進すると主張。遅れが生じている地域の道路や空港などインフラ「整備」の「推進」や、「子ども」政策に力を入れるとの強い訴えもあった。

 26人のうち8割の22人が自民の公認と推薦を受けた立候補者だが、「自民党」は表出しなかった。90秒スピーチで「自民」を用いたのは3人にとどまり、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた逆風で、明言を避けたとみられる。

言葉の重要度 サイズで表現

 データ分析を手がけるユーザーローカル(東京)の「ワードクラウド」を利用した。各立候補者の90秒スピーチで、多かった言葉、特徴的な言葉ほど大きく表示される。いわば言葉の「重要度」が文字の大小で示される。青が名詞、赤が動詞、緑が形容詞、灰色が感動詞。各立候補者の動画は、沖縄タイムスのウェブサイトで視聴できる。

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