庁舎建て替え計画が白紙に戻された岸和田市役所

大阪府岸和田市の庁舎建て替え計画が白紙に戻り、市側が見直しを進めている。現庁舎がある敷地内での建て替えには、防災上の理由から市議会が反発。令和6年度当初予算案が否決され、改めて提出した暫定予算案の可決に際し、建設予定地の変更を要望する付帯決議が採択されたためだ。新庁舎の行方は混迷している。

現庁舎敷地内で建設する市の計画に対し、市議会の一部会派から、建設予定地が活断層の近くだったり、高潮の浸水想定区域に含まれていたりするとして、計画を進めることに反対の声があがっていた。

このため、3月22日の市議会本会議で新年度当初予算案が賛成少数で否決された。市側は市民生活に影響がないよう4月からの4カ月間の必要経費を盛り込んだ暫定予算案を提出。28日に可決されたものの、建設予定地を市立福祉総合センターの隣接地に変更するよう要望する付帯決議が全員賛成で採択された。

市の担当者は「予算の議決権を持つ議会の判断は非常に重い」とする。だが、すでに基本計画を立て、建て替えに向けて動き出していただけに、「どう見直すか詳細は決められていない」と明かす。

市議会から新たな案が示されたが、実際の作業としては建て替え候補地の選定から仕切り直すことになる。令和10年を目指していた新庁舎の利用は4年遅れて14年となり、事業費も129億円から209億円に膨らむ見込みという。

同市の庁舎建て替えをめぐってはこれまでも曲折があった。3年3月、業者選定の公平性などが疑問視され、本契約の締結案案が市議会に否決された。

昨年、設計施工を担う業者を募集するプロポーザルを実施したが、物価高騰を背景にした資材費の急騰から参加事業者はなく、同10月に中止に追い込まれ、計画は足踏みしていた。

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