構想の「白紙撤回を目指す」と話す「富士山登山鉄道に反対する会」の上文司厚代表=26日、山梨県富士吉田市(平尾孝撮影)

山梨県が推進する富士山登山鉄道構想に反対する団体が26日、同県富士吉田市で発足した。登山鉄道が「信仰の対象と芸術の源泉である世界文化遺産の富士山を冒とくしている」として反対する。同日開かれた設立記者会見で、代表の北口本宮冨士浅間神社の上文司厚宮司は、「登山鉄道構想の白紙撤回を目指す」と語った。

発足した「富士山登山鉄道に反対する会」では上文司宮司のほか、富士山吉田口旅館組合、富士五湖観光連盟や富士吉田商工会議所青年部などに所属するメンバーらが発起人となった。富士吉田市の堀内茂市長や富士急行社長である堀内光一郎・富士五湖観光連盟会長らが顧問に就いている。

今後はインターネットなどを活用して、登山鉄道反対の署名活動を富士吉田市民、山梨県民だけでなく、全国レベルで展開する。今年中までに集約し、取りまとめた反対意見を県に提出し、構想の中止を求める考えだ。

富士山登山鉄道構想は、麓と5合目を結ぶ有料道路「富士スバルライン」上に、軌道を敷設して次世代型路面電車(LRT)を走らせるもの。一般の自動車やバスは通行させないことで、来訪者数をコントロールし、富士山の過剰な混雑を防ぐことを狙いとしている。

これに対し、反対する会では「富士山は信仰の対象の神体であり、これ以上の開発は許せない」とするほか、長崎幸太郎知事が地元の意見を聞かずに推進することなどで不信感が強まっていると指摘する。

長崎知事は25日の定例会見で反対する会の発足に対し、「賛成する団体もあり、多くの県民的議論を戦わせていきたい」とコメントしている。

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