東京大学は、学部の授業料値上げを正式に決定した。来年度の入学者から今より約11万円引き上げ、国が定める上限の64万2960円とする。24日に発表した。

 10日に藤井輝夫総長が方針を示していた。値上げとともに、経済的に困窮する学生の支援も広げる。授業料全額免除の対象を、今の世帯年収「400万円以下」から「600万円以下」に変える。大学院は、来年度の学部入学者が進学する2029年度入学者から修士課程と専門職学位課程も同様に64万2960円に値上げする。博士課程は据え置く。

 値上げ分について、学修支援システムや図書館機能の強化など教育の環境改善につなげるとしている。

 大学の値上げ方針に対し、学生や教員から反対の声も上がっていた。有志の学生たちは、反対する約2万7500筆分のオンライン署名を大学側に提出したり、反対集会を開いたりしていた。藤井総長は24日にメッセージを出し、「さまざまな意見・質問にも真摯(しんし)に対応してきた。最終案について、あらためて全学の諸会議に諮り、基本的な了承を得られた」と説明。今後については、「学生に関わりのある事柄について一緒に考える仕組みの丁寧な構築に向けて、検討を開始する」とした。

 運営費交付金の減額や光熱費の高騰などもあり、19年度以降、東京工業大や一橋大、千葉大など国立6大学が、奨学金の拡充などとセットで、学部の授業料を標準額の約1・2倍に値上げしている。(島崎周)

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