愛知県清須市の企業主導型保育施設「清須こころ保育園」が、今月10日から休園状態となっている。背景には、設置会社と運営会社間での金銭トラブルがあると見られる。保護者が休園を知らされたのは前日のこと。子どもの預け先が突然なくなり、保護者からは不安の声があがっている。

 清須こころ保育園は愛知県稲沢市の建設会社「ヨネムラコーポレーション」が設置し、同市内で学習塾を経営する「アスリートスクール」に運営を委託。0~3歳の28人が利用している。

 関係者によると、両社間には運営費などをめぐる金銭トラブルが発生。アスリート社が2日、ヨネムラ社に対して「10日付で従業員を引き上げる」と通告した。

 アスリート社の代表は朝日新聞の取材に対し「正当な運営費が支払われない期間が続くなどしたため、やむを得ず撤退を決めた」と説明。一方、ヨネムラ社の代理人は「アスリート社への支払額については、両社間で協議中だった」などと主張した。

保護者への連絡は前日「寝耳に水」

 10日からの休園連絡が保護者に回ったのは、9日午後のことだった。保護者の1人は「寝耳に水。子どもを預けられず、途方に暮れている」と漏らした。

 園側から保護者に対して、転園可能な複数の認可外保育園が紹介されたという。だが、この保護者は「全て自宅から遠方の場所。仕事の都合を考えると、預けにくい」と、不安を吐露した。

 ヨネムラ社は18日午後に保護者説明会を開いて、今後の見通しなどを伝える予定だ。

 清須市によると、転園先について保護者から10件程度の相談が寄せられたという。市は、空きのある公立保育園や認定こども園の一時保育を紹介している。

 企業主導型保育施設は、認可外保育園の一類型で、待機児童対策の切り札として2016年度に導入された。認可保育園と異なり、設置や入園調整に市区町村が関与せず、保護者が施設側と直接利用契約を結ぶ仕組みだ。(伊藤舞虹、野口駿、井上昇)

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