長野県駒ケ根市教育委員会は31日、市立赤穂保育園で昨年度、特定の保育士が、嘔吐(おうと)をした園児を放置するなどといった、不適切な保育が疑われる事実が3件あったと発表した。この保育士はそうした行為を一切否認しているが、今年1月、別の園に異動させたという。

 赤穂保育園では昨年11月、一部の保護者から「年中クラスの担任の保育士による不適切な保育があった」との訴えがあった。これを受けて市教委は、市顧問弁護士の長谷川洋二氏に園関係者への調査を依頼。保育士への聞き取りや、保護者らに対するアンケートを進めていた。

 長谷川弁護士によると、アンケートの回答には、具体的で迫真性のある証言が含まれており、特定の保育士が、①昼寝をしなかった園児におやつを与えない②パンツに便を漏らした園児に「くさい」などと言って処理をしない③嘔吐をした園児に「汚い」などと声をかけ、放置した――といった不適切保育が疑われる事実はあったことが認められたという。

 例えば、おやつについては、ある保護者から「もらえなかった園児が2人いて、1人は担任に泣いて頼んで、おやつをもらったが、1人は我慢していた」との回答があった。また、便の不処理について、職員・保育士の中から1人が目撃証言を寄せたという。

 長谷川弁護士は「本人は強く否定している。私も取締機関ではないので、事実認定は『疑わしい』にとどめた」と説明。本多俊夫教育長は「保護者、子どもと保育士とのコミュニケーション不足に問題があった。指導不足を痛感しており、双方に申し訳ない」と謝罪。指摘を受けた保育士を指導するとともに、保護者から信頼を得られるような園の運営改善を図る考えを示した。具体的には、研修の徹底や、保護者が意見を投函(とうかん)できる「気づき箱」を園内に設置する考えを示した。(佐藤仁彦)

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