地図があれば目標までたどりつける
大人が新しい知識やスキルを身につけるにあたって、闇雲にことを進めても、なかなか成果は出ないものです。そこで、まずは「何を学ぶのか」を把握するスキルマップを作成してみましょう。スキルマップとは、これから学ぶ対象や領域がどんなものなのか、学ぶべきスキルや知識の全体を見える化して把握する地図です。一例として以下のようなものが挙げられます。
(出典:リスキリング大全)『リスキリング大全: キャリアの選択肢が増えて人生の可能性が広がる』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら)*外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でご覧ください。
スキルマップを作成するにあたり、成熟した領域の仕事であれば、必要なスキルが体系化されていることが多く、把握しやすいです。一方、新しい領域の仕事に必要なスキルの一覧は明確になっていないことが多いので、自らマップを作成する必要があります。
また、新しい情報や知識も次から次へと出てきますので、自分の中でそれらの位置づけや重要性を定めるためにもこの地図が必要です。
スキルマップには、絶対に守らなければならない書き方はありません。あくまでも重要なのはスキルや知識の全体を俯瞰できるようにすることですので、色々と書き出しながらカテゴリー分けしていけば十分です。
スキルマップは、一度作成したら終わりではありません。 随時書き加えたり、変更したりします。あとで書き加えたり修正したりすることを考慮すると、手書きでなくデジタルで作成することがおすすめです。
AIができることならAIに全力で頼る
「この仕事ではこういうスキルが必要です」と明確になっていれば、まずはそれを頼りにスキルや情報のカテゴリーを作ります。それがない場合、基本の作り方は2つあります。どちらか1つだけでも構いませんが、組み合わせることでさらに精度が高まります。
① 書籍の目次を参考にする最もオーソドックスな方法は、書籍のカテゴリーや目次を参考にすることです。スキル系なら「入門書」、業界の専門知識系を学ぶなら「業界本」の目次が、そのままスキルマップのカテゴリーとして使えます。
② ChatGPTなどの生成AI を使うカテゴリーを洗い出すのに、AIを使うのがおすすめです。Google などの検索エンジンで探す場合、まとまったページが見つかればよいですが、大抵はバラバラのページに書かれていて、それぞれの内容も一長一短であることが多いでしょう。
それらを読みこんで、カテゴリーを作っていくことは思いの外、時間をとられます。そんな時にとても便利なのが生成系のAIです。
生成系AIは、文章、ストーリー、画像、動画、音楽など、新しいコンテンツやアイデアを作成できるAIの一種です。 膨大な量のデータで事前にトレーニングされた大規模モデルを利用しており、問いや、お題を与えると高度な文章やコンテンツなどのアウトプットを提示してくれます。
この生成系AIにスキルマップの作成を手伝ってもらうことで、学習の目標達成へ効率的に近づくことができるのです。
ただし、生成系AIが出したものをすべて正解として鵜呑みにするのは危険です。スキルマップの作成においても、生成系AIは、情報を効率よく集めてまとめたり、自分が考えたものを検証するためのものとして有効活用しましょう。
こういった生成系AIは、新しいことを学ぶうえで欠かせないものになってきています。以下にやり方の例を示しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ChatGPTでスキルマップを作ってみよう
ここではUMLという言語を使ってマップを作成します。UMLとはUnified Modeling Language の略で、システムの構造を図を用いて表現することができ、視覚的に把握できるようになります。ChatGPT でUML コードを作成し、マップを作成するサイトに貼り付けています。
ChatGPTの準備:アカウントを作成する
まず最初に、以下のサイトの「Try ChatGPT」をクリックしてログインします。アカウントを持っていない場合には登録してください。(https://openai.com/blog/chatgpt/)
①ChatGPT のコマンド欄に以下の文章を入力します。下線部分は自分の目指す領域や仕事、ビジネスなどを当てはめてください。
例: 「AI を活用したビジネスをするために必要なスキルや知識をマインドマップにまとめて、PlantUMLで出力してください。」
②以下のようにPlantUML のコードで出力されるので、「Copy code」をクリックして、コードをコピーします。
※ ChatGPT は環境によって出力結果が異なります。
(出典:リスキリング大全)③コードをマップにしてくれる以下のサイトにアクセスして、コードを貼り付けます。
(https://www.plantuml.com/plantuml/uml/SyfFKj2rKt3CoKnE
LR1Io4ZDoSa70000)
(出典:リスキリング大全)④「Submit」ボタンをクリックすると下にマップが表示されます。マップをコピーしてPowerPoint やWord に貼り付けて活用します。
(出典:リスキリング大全)このようにスキルマップをゼロからAIで作成するのもよいですが、自分が考えて洗い出したスキルカテゴリーをChatGPT に読み込ませて、「〇〇スキルの領域として、以下のリストに不足しているものを追加して」と検証させるのも使い方のひとつです。
(出典:リスキリング大全)自分が考えたものを読み込ませて検証する以外にも「AIビジネスを学習する人向けの講座を作りたいので講座のアジェンダを考えて」「AIについて学ぶための書籍を書きたいので、目次を考えて」など色々な観点で問いを立ててみましょう。
最後は人に頼ることでブラッシュアップ
応用編ですが、このようにして作ったスキルマップをその道の先達や専門家、先輩、上司などにスキルマップを見せてアドバイスをもらうとよいでしょう。その道の先輩や専門家に見てもらえば、より適切なカテゴリー分類を教わったり、おすすめの書籍や学び方を教えてもらったりすることができます。
そうすると、スキルマップや、このあと作成することになる学び方マップの精度をいっそう高めることが可能になります。恥ずかしがらずに、どんどん人に見てもらいましょう。 それが、効率よく学習する近道なのです。
大人の学びに効率化は不可欠。新たに学びたいと思った気持ちが高まっているうちに、AIに任せられることは任せて、人間にしかできない学びを深めていきましょう。
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