「投資の時間」は目的のために努力している時間。
「役割の時間」はやらなければいけないことをしている時間。
「浪費の時間」は無意識に過ごしてしまうムダだと感じる時間です。書籍『このプリン、いま食べるか?ガマンするか?』を一部抜粋・再構成し、時間の使い方のコツをご紹介します。
忙しさを生む元凶はどんな時間か
「仕事が忙しくて睡眠時間を削っている」
「家事と仕事の両立が大変で自分の時間がとれない」
「もっと自分のやりたいことをしたいのに、やらないといけないことに日々追われている」
忙しくて、時間が足りないことを実感している人は多いと思います。実際に、ある調査によると社会人の約9割が「時間が足りない」と感じているそうです。多くの人が仕事、家事、育児などで時間に追われ、もっと時間がほしいと思っているのです。
仕事であれば、仕事量が多すぎることや人手が足りないこと、会議や打ち合わせ、資料作りに時間がとられることなどが、時間が足りなくなる原因です。
家事であれば、食事をつくり、掃除し、風呂をわかし、洗濯して、たたむ。スーパーに買い物に行って、子どもを迎えに行かないといけない……。
「あ〜、なんでこんなに忙しいんだ!」
そんな気持ちになることもあると思います。
忙しいと感じる時間には、ある共通点があります。忙しいと感じるこれらの時間、いったい「どんな時間」でしょうか?
それは、「やらないといけないこと」に属する時間ということです。この「やらないといけないこと」にかける時間の多くは「役割の時間」です。
「役割の時間」に時間をとられすぎている
仕事でも家事でも育児でも、「やらないといけないこと」の多くはその人の役割です。資料をつくらないといけない。家族の食事をつくらないといけない。子どもに勉強を教えないといけない……。これらはいってみれば「役割の時間」です。
時間が不足する原因の多くは、「役割の時間」に時間をとられすぎていることなんです。
また、「やらなければいけないこと」は、「役割」以外に将来に対する「投資の時間」であるケースもあります。
「大学に合格するために今勉強する」「売上のために残業する」などは投資の時間です。「投資の時間」も時間不足を生む要因のひとつです。
一方で、たとえばこんな時にこんな感情って起きますか?
「1日中ダラダラとテレビを見てしまった。あー、忙しい1日だった」
ダラダラした1日を「忙しい」とは思わないですよね。このダラダラした時間は、いってみれば「浪費の時間」です。
そうなんです。「浪費の時間」に対しては、忙しくて時間が足りないという感情にはなりませんが、「役割の時間」や「投資の時間」には、忙しくて時間が足りないという感情が生まれやすいのです。
時間が「こぼれている」状態
寿司屋で人気のこぼれイクラ。イクラがこれでもかと軍艦巻の上に乗っています。
(出所)『このプリン、いま食べるか?ガマンするか?』より。イラスト/竹内巧あなたは、これを見てどんな印象を持つでしょうか?
「これは食べてみたい!」
「なんとも贅沢な軍艦巻だ!」
たしかに、おいしそうですよね。でも、それとは別に、僕にはこのこぼれイクラがこう見えます。
まるで、忙しくて時間が足りていない人のよう。イクラの一粒一粒はTODOリストに載っている「やらないといけないこと」。軍艦部分は「持っている時間」です。
所持する時間ではやらないといけないことが受け止めきれず、ボロボロとこぼれ落ちている。多忙な人もこぼれイクラも「余裕がありません」。ちなみに、時間に対して適切なTODOリストであれば、イラストのようなイメージでしょうか。ちょうどいい具合に軍艦の上にイクラが乗っています。
目指すべきは、時間とやることのバランスがちょうどいい時間配分です。実際に自分の時間がどこに配分されているかがわかっていれば、何をやればいいか行動指針をつくることができます。
そのためにも、まずは時間にはどういう時間があるかを知ることです。
実は、時間は「4つの時間」に分けられます。
人生には「4つの時間」しかない
自分の時間の配分を知ることからはじめる
すべての時間はこの4つに分けられます。
1 「幸福の時間」2 「投資の時間」
3 「役割の時間」
4 「浪費の時間」
こういわれても、ピンと来ないかもしれませんよね。
たとえば、仕事のある日の朝の時間をイメージしてください。起床して、顔を洗う、口をゆすぐ、家族と会話をする、朝食を食べる、コーヒーを飲む、トイレに行く、髪を整える、化粧をする、ヒゲを剃そる、服を選ぶ、着る、ニュースを見る、SNSを見る……朝のルーティンはいろいろあります。
(出所)『このプリン、いま食べるか?ガマンするか?』より起きてから家を出るまでの準備時間を、4つの時間に仕分けするとどうなるでしょうか。
たとえば「顔を洗う」時間。この時間は多くの人にとっては目を覚ますとか、顔を清潔にするといった「役割の時間」です。でももし顔を洗うことを「喜び」に変換できれば、「幸福の時間」になります。
以前、森林に囲まれた場所でキャンプをしたことがあります。起床して、キャンプ場を流れているきれいな小川で顔を洗った時。
「超気持ちいい~!!」と声が漏れました。最高の「幸福の時間」でした。
洗顔の時間が、4つの時間のどれになるかが決まっているわけではありません。洗顔をどの時間にしたいかは、自分の思考と行動で変えられるのです。
何もキャンプにまで行かなくても、意識を変えることで「幸福の時間」をつくることができます。
たとえば、顔を洗う時。洗面台に香りのいい石鹸やアロマオイルを数種類用意して、その日の気分で使い分けてみる。香りに癒され、いい気分になれますよね。
こんな感じで、工夫次第で「役割の時間」を「幸福の時間」にというように、その時間がどんな時間なのか、時間の意味を変えられます。
コーヒーを飲む時の場合は?
『このプリン、いま食べるか? ガマンするか? 一生役立つ時間の法則』(飛鳥新社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプしますコーヒーを飲む時も同じです。ただなんとなく眠気覚ましに飲むだけなら「役割の時間」、または無意識に過ごしている「浪費の時間」かもしれません。
でも、コーヒー豆を数種類用意して、毎日違う豆で淹れる。そこまでは面倒という人は、コーヒーカップをいろいろ用意して、気分に合わせて選ぶ。
喫茶店でもカップを選ばせてくれる店がありますが、選ぶ楽しみがコーヒーの時間を「幸福の時間」に変換してくれます。
そこまでするのが大変ならば、コーヒーに集中するだけでもいいと思います。コーヒーを淹れる時、飲む時に、香りや味に集中する。これだけでも時間がきっと変化します。
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